みのおママの学校代表、谷口陽子さん(45)は「ママたちが相談先に困っていることを感じます。少しでも悩みや不安に答えられる態勢を整えたい」と話し、今後、スタッフを増やして対応を続ける考えだ。
相談役の一人で、大阪府内の産婦人科に勤める助産師の手古(てこ)優花さん(33)は「妊娠を望む女性から『今妊娠しても診てもらえないのではないか』という声も聞きます。安心して妊娠、出産を迎えられる環境をつくりたい」と話す。
定期検診も新しい様式で
妊娠中の定期検診をオンライン診療(遠隔診療)で行う取り組みも始まっている。大阪府池田市の川口レディースクリニックは通院による妊婦の感染への不安を和らげるため、遠隔診療を4月22日から始めた。
スマートフォンやパソコンを利用したビデオ通話で映像と音声で妊婦とやりとりをする川口浩史院長(41)は「表情をみるだけでも直接の受診が必要かどうか判断材料になります」と話す。問診に不自由はないといい「体調など現在の状態について正確に説明することもできる」という。
ただ、オンライン検診を本格化させるためには、胎児の成長を知る超音波検査や、心音・心拍数の検査が自宅でも行えるようになるのが必須。今後のこういった検査機械の普及を望みながら、「今は遠隔治療を、対面診療とうまく組み合わせて、妊婦をサポートしていきたい」と話している。
妊婦の6割が情報不足に不安を感じている-。ベネッセコーポレーションの妊娠・出産・育児ブランド「たまひよ」が、妊婦や母親を対象に新型コロナウイルス感染拡大による生活への影響をインターネットを通じてアンケートした。
今年4月17日から20日にかけて全国の女性4411人を対象に調査を行った。うち3207人が妊婦で、出産への影響を複数回答で尋ねたところ、61・0%が両親学級の中止などによる情報不足をあげていた。入院中の面会ができなくなった(55・1%)、出産時に配偶者、パートナーの立ち合いができなくなった(51・8%)と続いた。
「たまごクラブ」「ひよこクラブ」統括ディレクターの米谷明子さんは「多くの妊婦さんが情報不足を不安に感じていることが分かった」と話す。政府の専門家会議が「新しい生活様式」を提言したことを受け「妊婦の生活にも、遠隔診療やオンライン相談など新習慣が生まれる中で、妊婦の情報不足を解決する必要がある」と指摘している。