教育・子育て

授業再開も懸念される入試への影響 “第2波”で再び休校措置の可能性も

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が多くの府県で解除され、学校再開の動きも加速してきた。ただ、休校が長引き学習に遅れが生じていることから入試への影響を懸念する声は強い。文部科学省は高校入試について各地域の実情に応じて出題範囲などに配慮をするよう都道府県教育委員会に通知した。(藤井沙織)

 関西の多くの学校では休校が約3カ月の長期にわたり、ようやく6月から再開される。大幅な学習の遅れを回復し、従来通りの入試の出題範囲にできるのか。

 「われわれが携わっているのは義務教育。年度内に学習範囲を終わらせるのが使命だ」。大阪府北部の公立中学校の校長はそう話す。ある教委の担当者も「入試の出題範囲を削れば、生徒はその部分を勉強しなくなる。よほどのことがない限りはできない」と範囲の削減には消極的で、夏休みの短縮などで学習指導要領が定める学習内容の履修を目指す。

 だが、感染拡大の第2波で再び休校措置がとられる可能性もあり、大阪市立中学校のある校長は「もしまた長期の休校となれば、どうやっても学習内容を終えられない事態になるだろう」と懸念。「そのときには、入試の出題範囲を減らす必要があるのでは」と訴える。

 受験生や保護者らの不安も大きく、文科省は13日、「休校の影響で特定の入学志願者が不利にならないよう、適切な工夫を講じてほしい」などと各都道府県教委に通知。各地域における授業の実施状況から、必要に応じて出題範囲や出題方法などへの配慮を求めた。

 これを受けて、奈良県教委は今月中に、市町村教委や中学校長に出題範囲を減らすべきかを問うアンケートを実施。さらに県内の全中学3年生に対し、「出題範囲を従来通りにした場合に不安はあるか」などについてたずね、調査結果をもとに6月に方針を決めるという。

 一方、滋賀県教委は、現時点では出題範囲を変えずに実施する予定。ただ、今後の感染状況によっては変更もありうるという。大阪府教委は検討中で、担当者は「子供たちにとって大事な問題なので、結論は早く出したい」と話している。

 文科省の通知は出題範囲の工夫のほか、内申書の成績評価についても「休校の影響による不利益を被ることがないように」と求めており、担当者は「地域の状況を最も把握している各教育委員会が一番いい方法を考え実施してほしい」と話している。

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