同学会の市川智彦理事長は「4月の声明は、一般市民、特に不妊治療を受けている女性に妊娠を控えていただくことを意図したものではなかった」と釈明。今後については「地域によって異なる感染状況や個別の事情も反映される。最終的にどのような治療が選択されるかは患者さんと主治医の判断に委ねられるべきだ」としている。
「不妊治療、控えられない」専門病院で進むコロナ対策
「年齢が高くなれば受精卵の染色体異常が増え、ホルモンも分泌しにくくなる。40代の1カ月は30代前半の半年間に相当する」。JISARTに加盟する不妊治療専門病院「HORAC(ホーラック)グランフロント大阪クリニック」(大阪市北区)の森本義晴院長(68)はこう話し、「不妊治療を控えることはできない」と訴える。
系列の「IVFなんばクリニック」(同市西区)の松岡麻理医師が5月中旬に患者20人を対象に行った調査によると、70%が治療を継続すると回答。日本生殖医学会が4月に出した声明について、40%が「理解可能だが従うのは困難」とし、「当然と納得」の30%を上回った。
「HORAC」では感染防止策に神経をとがらせながら治療を継続している。患者には来院時の体温計測や手洗い、マスクを徹底してもらい、医師やスタッフはフェースガードを着用。発熱したスタッフは全員、2週間休ませる。来院回数の少ない治療方針を推奨するとともに、来院せずに相談や投薬ができる遠隔診療システムの構築を急ぎ、7月から開始する予定だ。
さらに4月から、不妊治療の正しい知識を動画にまとめ、「POSITIVE妊活!」シリーズとしてユーチューブで発信。中でもまめな水分補給や、帰宅後は手だけでなく顔も洗うこと、運動を続けることなどを勧める「妊活中の新型コロナウイルス対策」は7千回以上視聴された。森本院長は「不妊治療には噂や証拠のない情報が多い。この機会に正しい情報を発信していく」としている。