書評

『天皇退位 何が論じられたのか』御厨貴・編著

 ■多様なテーマの課題積み残し

 上皇さまが天皇譲位のご意向を表明した平成28年夏のビデオメッセージから3年半の間に、さまざまな学者やジャーナリストらが論じた皇室や天皇に関する対談や論評を集めた。編著者は「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の座長代理として渦中におり、「これほど多様なテーマが多彩な執筆者によって」論じられていたことに驚いたと振り返る。

 しかし、提起された問題の多くは結論が出ておらず、積み残されたままだ。「令和」という新しい御代も1年。論点がしっかりと提示されたこの本を、議論継続のきっかけとしたい。(中央公論新社、2000円+税)

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