ヘルスケア

大阪府、コロナ第2波備え検査態勢強化 保健所介さず検体採取

 新型コロナウイルス感染の第2波に備え、大阪府が検体採取を含めた陽性確認の検査態勢を強化している。従来の方法より簡単な唾液によるPCR検査を導入し、保健所を介さず検体採取を集中的に行う「地域外来・検査センター」を近く府内全域の8医療圏に設置。一日の検査能力は最大3500件を目指す。

 府は6日、唾液によるPCR検査をスタート。同日の陽性確認の検査件数は452件だった。5月下旬以降は受診する感染疑い患者が減り、300件台が多かったが微増した。

 検査態勢の強化は、新規感染者を早期に把握するという国の方針を踏まえたものだ。これまでPCR検査の対象でなかった無症状の濃厚接触者も検査する。

 吉村洋文知事も「感染者数が少ないときにキャパシティーを増やし、第2波に備える」と強調。府は約千件としていた一日の検体採取目標を改め、2千件以上が必要になると想定し、現状で一日最大約1400件の検査能力も2・5倍の3500件を目標とする。

 唾液による検査は、検体をとる医師らの負担軽減につながることが大きい。従来は患者から鼻奥の粘液を綿棒で採取する際、せきやくしゃみで飛沫(ひまつ)感染するリスクがあり、医療用マスクやガウンなどで厳重に防護しなければならなかった。唾液は容器に出すだけで済み、感染リスクも低い。

 唾液採取の対象は、ウイルス量が多いとされる発症から9日以内の患者と症状のある濃厚接触者で、10日以上たった患者や無症状の濃厚接触者からは鼻奥の粘液をとる。

 一方で、府は医師や看護師らを配置した地域外来・検査センターを新たに設置し、保健所を通さない検体採取のルートをつくる。

 同センターを置くのは、大阪市▽堺市▽豊能▽三島▽北河内▽中河内▽南河内▽泉州-の8医療圏。大阪市に4カ所、ほかの7医療圏にそれぞれ1カ所の計11カ所とする。運営は医療機関などに委託し、費用は国と府で負担する。

 同センターと連携登録した医療機関でPCR検査が必要と医師が判断した患者については、同センターで検体を採取し、民間検査機関が検査する流れだ。医療機関は、かかりつけの診療所などを想定している。

 現在は主に、患者が保健所の「帰国者・接触者相談センター」に相談し、検査が必要とされた場合に病院などの「帰国者・接触者外来」で検体を採取。府内の衛生研究所や民間の検査機関で検査している。

 府は、感染疑いがある新規患者や濃厚接触者については地域外来・検査センターを活用し、保健所を通さない検体採取と検査を増やす考えだ。吉村氏は「社会経済活動を復活させる上でも検査態勢の強化が重要になる」と話した。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus