がん電話相談から

高齢者の子宮頸がん、手術は必要か

 Q 80歳代の女性です。時々、膣から不正出血があり、今年3月に婦人科を受診しました。細胞診の結果、子宮頸(けい)がんの疑いを指摘されました。主治医と相談し、年齢的なことを考慮して、手術などの積極治療はせずに、経過観察をすることにしました。この判断でよろしいでしょうか。

 A 80歳代でも、患者さんが中等度以上の認知症で治療に耐えられないとか、ほかの合併症が重くて継続通院が難しいということでなければ、子宮頸がんかどうか確定診断すべきです。1~2回の婦人科診察と、組織診、CT(コンピューター断層撮影)かMRI(磁気共鳴画像装置)検査によって確定診断します。ご家族が病院にお連れする必要はありますが、なんとか頑張って診断を確定すべきです。

 Q このまま経過観察を続けた場合のリスクはありますか。

 A そのリスクは大いにあります。仮に子宮頸がんだとすれば、治療せずに放置すると、そのがんが膀(ぼう)胱(こう)や直腸に侵入して尿や便が漏れ出てきます。がんが産生(生成)するおりものに尿や便が混ざると、どんなに親孝行のお子さんでも、悪臭のため同じ屋根の下では過ごせないかもしれません。高齢だから経過観察として、何もしないでと考えるご家族でも、こうした状況になると、施設に預けたい、病院で治療してほしいとなるのが普通です。治療せずにそれを数カ月以上放置すると、病院でも受けるのが難しい場合があります。患者さんが通常に近いコミュニケーションが取れる場合、そのような自分を想像することはつらく悲しいですね。

 Q 今後、子宮頸がんと診断されたら、高齢者の場合は手術などの対応が変わるのでしょうか。

 A 初期がん(上皮内腺がんや微小浸潤がん)であり、患者さんの状態が短時間(約1時間)の手術に耐えられるのであれば、開腹による単純子宮全摘出が第一選択です。もし、進行した浸潤がんであれば、大きな根治手術は後遺症があるため選択せず、放射線治療を勧めます。75歳未満であれば放射線+化学療法で根治を目指しますが、80歳代では、放射線単独で骨盤内の制御を目的に治療します。ご家族のサポートがあれば、外来通院での放射線治療が望ましいです。高齢者を長く入院させることは認知症の悪化を招くことが懸念されるためです。

 Q 手術をしない選択をした場合、どのような治療方法がありますか。

 A 高齢者では全身状態に問題がなく治療に耐えられれば、根治を目指した治療(放射線治療+化学療法)も行われます。ただし、高齢者では合併症をもっていることが多いので、根治と言うより、骨盤内はしっかり治そうというスタンスで放射線単独治療を選択するのが一般的です。(構成 大家俊夫)

 回答は、がん研有明病院の瀧澤憲医師(婦人科前部長)が担当しました。

 「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月曜日から木曜日(祝日除く)午前?時~午後3時に受け付けます。電話は03・5531・0110、無料。相談は在宅勤務でカウンセラーが受け付け、専門医の相談は当面、休止します。寄せられた相談内容を医師が検討し、産経紙面やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。個人情報は厳守します。

     

 子宮頸がんは年齢にかかわらず、主な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染とされる。30歳代後半から40歳代前半で子宮頸がん発症のピークを迎え、高齢での発症は「最近減っている」という。

 瀧澤医師は「高齢の方は若いときにHPVに感染した可能性が高い。HPVはヒトの免疫で次第に排除されることが多いのですが、免疫が弱くてHPVが持続感染していると、高齢になって潜伏していたHPVが子宮頸がんを発症させると考えられます」と話す。

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