先週は新型コロナウイルスの感染再拡大の兆候が出てきたことや米連邦公開市場委員会(FOMC)における判断が市場の想定よりも弱気であったこと、トランプ米大統領の支持率の低迷などが市場の不安を掻き立て、これまでの楽観的な相場から、リスク回避色の強い相場に転じ、安全資産とされる円やスイスフランが強い展開となりました。
今週は引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大状況等に注目が集まるほか、米国では小売売上高、鉱工業生産の発表が予定されています。いずれも前月からの回復が見込まれているだけに仮に弱い結果となると、市場へのインパクトが大きくなる可能性が考えられます。
欧州では、欧州連合(EU)の復興基金の行方に注目が集まりそうです。19日の首脳会議にて各国が合意に至る可能性は低いと予想されていますが、現在報道されている規模から縮小を議論するなどの報道が出てくると、ユーロの上値圧迫材料となる可能性が考えらえます。
日銀の金融政策決定会合のほか、イングランド銀行(BOE)の金融政策委員会も予定されています。イングランド銀行は政策金利の据え置き、資産購入額の1000億ポンド増額が市場予想の中心となっています。市場への影響は限定的と考えられますが、市場予想と異なる結果となると不安定な動きとなる可能性もあるため、注意が必要です。
ドル円は短期的には反発の可能性も
では、世界中に顧客を持つ外国為替証拠金取引(FX)会社のOANDA(オアンダ)が提供するオーダーブックで外国為替市場の動向を探ってみましょう。
オーダーブックはOANDAの顧客の取引状況を公開したデータです。顧客の保有しているポジションの取得価格の水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンポジション」と、顧客の未約定の注文の価格水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンオーダー」の2種類のデータから成ります。
ちなみに、ある通貨を買っている状態を「買いポジション」、売っている状態を「売りポジション」といいます。買いポジションを保有している場合、その通貨の価格が取得価格から上昇したら収益が上がり、逆に下落すると損失が発生します。売りポジションを保有している場合は、取得価格から下落すると収益が上がり、上昇すると損失が発生します。FXでは、それぞれのポジションとは反対の売買を行って決済(損益の確定)をする仕組みとなっているからです。
先週のドル円は、上値の重い推移が続き、一時1米ドル=106.50円付近まで下落する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが増えており、反発したところでは、安堵の利益確定の売り、安値を切り下げる動きとなると、これらのポジションの損切り(損失拡大を防ぐための決済取引)の売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができます。
一方で先週末の反発により、含み損を抱えた売りポジションも少し増えており、反発地合いが続くと、これらの損切りの買いにも注意が必要となり、短期的な反発にも警戒が必要な状況と考えられそうです。
ユーロドルは利益確定売りに注意
先週のユーロドルは、高値を切り上げましたが、その後は失速し、1ユーロ=1.12米ドル台前半まで下押しとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、上昇基調が続いたことにより、含み損を抱えた売りポジションが依然として多く、下押しの場合は安堵の買い、上昇の場合は損切りの買いが増え、底堅そうですが、直近の下押しで含み損を抱えた買いポジションも増えており、上昇したところではこれらの買いポジションの安堵の利益確定売りが上値を圧迫する可能性も考えられそうです。
大きな流れは依然として上昇基調ですが、高値圏で利益確定の売りがどの程度入ってくるかで今後の方向感を探っていきたいところです。
ポンドドルは上値の重さ残る可能性も
先週のポンドドルは、前半は底堅い推移が続き、1ポンド=1.28米ドル台まで上昇したものの、その後は失速し、一時は1.25米ドルを割り込む水準まで下押しする動きとなりました。
週末には下押し後に買い戻しが入り、下落基調に一服感が出ているようにも見えますが、OANDAのオープンポジションを見ると、下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが目立ち、反発したところでは安堵の売り、安値を切り下げる動きとなると、これらの損切りの売りが増え、上値の重さが残る可能性も十分に考えられそうです。
〈OANDAのオーダーブック〉
オープンポジションはここに注目
相場を動かす要因の一つは損切り注文といっても過言ではありません。
これ以上損失を増やしたくないトレーダーは保有しているポジションの反対売買を行い、損失を確定させ、市場から退出します。
例えば、価格が下落する局面では、買いポジションの保有者が苦しくなり、損切り注文(決済の売り注文)が出やすくなり、下落圧力が強まる要因となります。
損切り注文は価格の向かう方向と同じ方向へ力が加わる注文となるため、損切り注文が多くでる場面では、短期間に相場が大きく動きやすくなります。
オープンポジションを見ると、どの水準に含み損を抱えたポジションが多いかを視覚的にチェックすることができ、次にどちらに動いた方が、価格の動きが大きくなりそうか(損切り注文が多く出そうか)を予想することができます。
オープンオーダーはここに注目
前述の通り、損切り注文が増えると、一方向への力が強まるため、価格の動きが勢いづくことがあります。
オープンオーダーを見ると、どの水準にどの程度の注文(オーダー)が入っているかを視覚的に素早くチェックすることができます。
損切り注文が多く入っている水準に到達すると、価格が短期的にでも勢いづくことがあるため、注意が必要です。
世界中のトレーダーの相場分析のサマリー?
トレーダーが損切り注文を入れる水準は、通常は、チャートで相場分析を行なった上で、「この水準を超えてしまったら、相場の流れが逆方向に向かう」と考えた水準に入れます。
OANDAのオープンオーダーは、世界中のトレーダーが相場分析を行った結果のサマリーと言っても過言ではありません。
これを見れば、世界中のトレーダーがどの水準に注目し、相場の転換点となると考えたかを簡単にチェックできます。
※逆指値注文:現在の水準よりも不利な水準を指定して行う注文。通常、損切り注文はこの逆指値注文を使います。
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