ヘルスケア

低かった新型コロナ抗体保有率 専門家、第2波で「感染広がる恐れ」

 厚生労働省は16日、新型コロナウイルスの過去の感染歴を調べる「抗体検査」を3都府県の計約8千人に実施した結果、抗体保有率が東京で0・1%、大阪で0・17%、宮城で0・03%だったと発表した。国内では依然として大半の人が抗体を持っておらず、第2波の発生を想定し、改めて重症化を防ぐ医療態勢の構築などが求められる。

 抗体検査は地域限定で行うことで、市中感染の実態を把握できる。今回の調査は人口10万人当たりの感染者数の多い東京と大阪、比較的少ない宮城を選定した上で、今月1~7日、無作為抽出で同意を得た20歳以上の住民(東京約2千人、大阪、宮城各約3千人)を対象に実施した。

 人口約1400万人の東京都の抗体保有率から単純計算すると、すでに約1万4千人の感染者がいたことになる。5月31日時点で報告されていた5236人の2・7倍に上る。同様に、約230万人の宮城県では88人の報告数に対し、7・8倍の約690人の感染者がいたと推計される。

 いずれの地域でも無症状の感染者のほか、検査や治療を受けずに治った人が相当数いることを示唆する。

 東邦大教授で日本感染症学会の舘田一博理事長は「(今回の結果は)予想より低かったが、市中レベルではこの程度なのだろう。それだけ再び感染が広がる恐れがあり、2日連続で40人を超える感染者が出た都内では、水面下で広がりつつあってもおかしくない」と指摘する。

 抗体検査は、次の流行で感染の可能性がある人数やワクチン接種が必要な人数の推計に役立つとされる。スペインで5%、米ニューヨーク市で20%との報告があり、精度のばらつきを差し引いても日本の抗体保有率は極めて低い。舘田氏は「日本では第2波を受けたら、第1波と同じように多くの人が感染してしまうリスクがあると考えなければいけない」と強調する。

 加藤勝信厚労相は16日、「抗体検査の活用方策や、さらなる抗体保有率調査について検討していきたい」と述べた。現時点で抗体が体内でどれだけ持続するのかや、次の感染から守る機能があるかどうかは定かではなく、国立感染症研究所でさらに研究を進める。

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