本ナビ+1

『四季の創造』 「二次的自然」で養われた「神話」 ライター、永青文庫副館長・橋本麻里 (2/2ページ)

 ■『科学歳時記』寺田寅彦著(角川ソフィア文庫・840円+税)

 自然と四季の連想の体系は、江戸時代中期の本草学の隆盛以降、自然科学に基づく自然観さえ加え、拡大していった。近代科学の徒であり、同時に豊かな古典的教養をも備えていた物理学者、寺田寅彦のエッセー『科学歳時記』は、寅彦本人が強調するように「客観的の真実」だけではない、「四季のイデオロギー」に縛られてもいるからこそ、私たち読者をより深く魅了するのである。

                  

【プロフィル】橋本麻里(はしもと・まり) 神奈川県生まれ。新聞、雑誌への寄稿の他、NHKの美術番組を中心に日本美術を楽しく、わかりやすく解説。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus