来春卒業予定の大学生に、就職活動をテーマに川柳を詠んでもらいました。全540作品が寄せられた中から、ユーモアや風刺の効いた佳作を紹介します。
「パンプスが 出番がないと 泣いている」
今年はコロナ禍で就活スタイルが一変しました。対面での接触が制限され、会社説明会やOB・OG訪問もオンラインで行われることが普通になりました。この女子学生は、就活用に用意した新品の靴も履く機会がない、と残念がっています。会社訪問がかなわず会社の雰囲気がうまくつかめないもどかしさもあるかもしれません。
「ウェブ面接 上はスーツで 下ジャージ」
面接もオンラインで行うケースが増えました。パソコンやスマートフォンのビデオ通話機能を使って面接をするのです。当社の調査では、約8割の学生がオンライン面接を経験したと回答しました。
服装は、特に指定がなければスーツで臨むのが一般的です。しかし、どうせ座ったままだからと上半身だけ取り繕う省エネ学生も少なくないようです。上半身しか映らないと思っていても、うっかり立ち上がると見えてしまうかもしれませんのでご注意を。
「コロナ就活 交通費浮けど 顔浮かず」
急なオンライン化も悪いことばかりではありません。就活の交通費は例年、平均6~7万円ほどかかり、地方の学生では20万円超えも珍しくない状況ですが、今年はグッと減ることでしょう。さて、浮かない顔をしているということは、就活が思うように進んでいないのでしょう。採用活動の中断・停止で、例年に比べ内定が出るペースが全体的に遅くなっていますので、焦ることはありません。
「友人に 早期の内定 ひた隠す」
一方、こちらは早い時期に内定を獲得できた学生です。今年はもともと夏に東京五輪が控えていたことで、企業の動き出しは非常に早かったのです。できるだけ開催前に内定者を確保しておきたいとインターンシップ参加学生の囲い込みが進んでいました。本命企業でなくとも、1社内定があれば気持ちに余裕ができます。未内定の友人とは就活の進め方も違ってくるでしょう。お友達が無事に内定を得られるまでは黙っていたい、そんな気遣いが伝わってきます。
「近いうち コロナ世代と 呼ばれそう」
予想だにしなかった就活に臨んだ今年の就活生たち。古くは団塊の世代、バブル世代、ゆとり世代など、〇〇世代という言葉は数多くありますが、コロナ世代という言葉が定着しないよう、早期の収束を願わずにはいられません。(キャリタスリサーチ 武井房子)