オーダーブックで読み解く外為市場

コロナ感染拡大ペース加速ならリスク回避の動き 米中対立も要警戒

 先週の主要通貨間の値動きは引き続き鈍い動きとなりました。

 新型コロナウイルスに関しては、世界的に新規の感染者増加に歯止めがかからない状況が続く中、ワクチン開発への期待感や各国中央銀行の大規模な金融緩和の影響もあり、金融市場は今のところ落ち着いた状況が続いています。

 ただし、感染拡大は深刻な状況と考えられ、感染拡大ペースがさらに強まると、市場の不安が高まり、リスク許容度が低下する可能性も考えられるため、今後の感染拡大状況、市場の変化に注目したいです。

 また、香港、ウイグル、南シナ海情勢を巡り、米中関係悪化が懸念される状況が続いており、今後も両国間での牽制が続くことが想定され、内容次第では市場が過敏に反応する可能性も考えられるため、最新の報道には注意が必要となりそうです。

 ドル円は1米ドル=106円を守れるか

 では、世界中に顧客を持つ外国為替証拠金取引(FX)会社のOANDA(オアンダ)が提供するオーダーブックで外国為替市場の動向を探ってみましょう。

 オーダーブックはOANDAの顧客の取引状況を公開したデータです。顧客の保有しているポジションの取得価格の水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンポジション」と、顧客の未約定の注文の価格水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンオーダー」の2種類のデータから成ります。

 ちなみに、ある通貨を買っている状態を「買いポジション」、売っている状態を「売りポジション」といいます。買いポジションを保有している場合、その通貨の価格が取得価格から上昇したら収益が上がり、逆に下落すると損失が発生します。売りポジションを保有している場合は、取得価格から下落すると収益が上がり、上昇すると損失が発生します。FXでは、それぞれのポジションとは反対の売買を行って決済(損益の確定)をする仕組みとなっているからです。

 先週のドル円は、1米ドル=106円台後半から107円台前半の狭い価格レンジ内で方向感の鈍い推移が続きました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、先週の価格レンジである1米ドル=106.50~107.50米ドル内で構築されたポジションが多い中、買いポジションが6割程度とやや多く、このうち、含み損を抱えたものも比較的多い状況です。

 このため、上昇したところでは、これらのポジションの安堵の利益確定の売り、下押ししたところでは、損切り(損失拡大を防ぐための決済)の売りが増え下落を後押しする可能性が考えられそうです。

 特に、過去に2回、下落を食い止めている1米ドル=106.00円の水準を割り込むような動きとなる場合には上昇を狙った買いポジションの失望の売りを絡めた下落に注意が必要となりそうです。

 ユーロドルは下押しにも要注意

 先週のユーロドルは序盤に1ユーロ=1.145米ドルに迫る水準まで上昇する動きとなりましたが、その後は高値圏で伸び悩む動きが続きました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションに大きく傾く中、その多くが含み損を抱えており、下押した場合は安堵の買い戻しが増え、高値を切り上げる場合は損切りの買いが増えることが想定され、底堅い推移が続く可能性が考えられそうです。

 これに対し、直近の伸び悩みでストレスを抱えた買いポジションも増えており、安値を切り下げる動きとなると、これらのポジションの利益確定、損切りの売りが増える可能性も考えられ、しっかりと高値を切り上げることができずに失速する動きとなった場合には注意が必要となりそうです。

 ポンドドルは均衡がいずれに崩れるかに注目

 先週のポンドドルは、方向感の鈍い推移が続きました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少なく、直近の1ポンド=1.248-1.267米ドルの価格レンジで構築されたポジションが多く、力が均衡しているような状況となっています。

 レンジをしっかりと抜ける動きとなり、均衡が崩れると、売買のいずれかのポジションの損切りを絡め、方向感が出てくる可能性を見いだすことができますが、レンジ内で推移している間は、方向感の読みにくい状態が続きそうです。

〈OANDAのオーダーブック〉

オープンポジションはここに注目

 相場を動かす要因の一つは損切り注文といっても過言ではありません。

 これ以上損失を増やしたくないトレーダーは保有しているポジションの反対売買を行い、損失を確定させ、市場から退出します。

 例えば、価格が下落する局面では、買いポジションの保有者が苦しくなり、損切り注文(決済の売り注文)が出やすくなり、下落圧力が強まる要因となります。

 損切り注文は価格の向かう方向と同じ方向へ力が加わる注文となるため、損切り注文が多くでる場面では、短期間に相場が大きく動きやすくなります。

 オープンポジションを見ると、どの水準に含み損を抱えたポジションが多いかを視覚的にチェックすることができ、次にどちらに動いた方が、価格の動きが大きくなりそうか(損切り注文が多く出そうか)を予想することができます。

オープンオーダーはここに注目

 前述の通り、損切り注文が増えると、一方向への力が強まるため、価格の動きが勢いづくことがあります。

 オープンオーダーを見ると、どの水準にどの程度の注文(オーダー)が入っているかを視覚的に素早くチェックすることができます。

 損切り注文が多く入っている水準に到達すると、価格が短期的にでも勢いづくことがあるため、注意が必要です。

世界中のトレーダーの相場分析のサマリー?

 トレーダーが損切り注文を入れる水準は、通常は、チャートで相場分析を行なった上で、「この水準を超えてしまったら、相場の流れが逆方向に向かう」と考えた水準に入れます。

 OANDAのオープンオーダーは、世界中のトレーダーが相場分析を行った結果のサマリーと言っても過言ではありません。

 これを見れば、世界中のトレーダーがどの水準に注目し、相場の転換点となると考えたかを簡単にチェックできます。

※逆指値注文:現在の水準よりも不利な水準を指定して行う注文。通常、損切り注文はこの逆指値注文を使います。

本記事に掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

OANDA Japan株式会社

第一種 金融商品取引業 関東財務局長 (金商) 第2137号

加入協会等:一般社団法人 金融先物取引業協会 証券業協会 日本投資者保護基金

OANDA FXラボ編集部
OANDA FXラボ編集部 OANDA Japan株式会社
世界各国に拠点を持つFXブローカー
1995年に世界で初めてインターネットを利用した無料の外国為替レート情報の提供を開始したOANDAの日本法人。創業当初から、正確で透明性の高い優れた為替レートを提供するため万全のインフラを整え、取引環境の改善を行ってきた。現在では世界8カ国にオフィスを構え、そのサービスは世界中のトレーダーに利用されている。

【オーダーブックで読み解く外為市場】はOANDA FXラボ編集部が投資判断の参考として外国為替市場の動向を読み解く連載コラムです。更新は原則毎週火曜日。アーカイブはこちら

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus