試乗スケッチ

アバルトのキャラを最も押し出した“ピリ辛”イタリアン「595ピスタ」 (1/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 カブリオレの5速MTに試乗

 「アバルト595ピスタ」-。これほどアバルトの主義主張を強く表現したモデルもないだろうと思う。というのは、このアバルト595ピスタ、いってみれば機構的には既存の595と等しいのだが、細部に特殊な装備を付け加えることで成立させた限定車に過ぎない。ニューモデルが待たれている今、販売上のカンフル剤にすぎないという見方もできる。だが、そのささやかな装備の全てが、いかにもアバルトの出生や歴史を伝えるが如く、レースシーンに満ち溢れているのである。

 ちなみに、国内限定は240台。ルーフのある「595ピスタ」の5速マニュアルが95台。ATモード付き5速シーケンシャルが51台。カブリオレタイプの「595Cピスタ」の5速マニュアルが61台。ATモード付き5速シーケンシャルが33台である。今回試乗が叶ったのは、世界でも希少な「595Cピスタ」の5速マニュアルだった。

 そもそも、そのネーミングがアバルト595らしい。「ピスタ」とはイタリア語で「サーキット」を意味する。フェラーリやランボルギーニなど、モータースポーツへのただならぬ情熱を燃やすメーカーは少なくはないけれど、アバルトも同様で、これでもかと言わんばかりにモータースポーツ色を盛り込んでいるのだ。

 リアのピスタのエンブレムは、イタリアの著名なF1サーキットであるモンツァサーキットがモチーフになっている。そればかりか、組み込まれるエキゾーストシステムは「レコードモンツァ」と呼ばれている。その名称からエキゾーストシステムを連想する人はいないだろう。一般的には「高性能エキゾーストシステム」との無機質な呼び方で済まされる。だがアバルトは、マフラーにでさえサーキットの名を与えてしまうのである。

 だからレコードモンツァはサウンドも勇ましい。直列4気筒1.4リッターターボは、最高出力165psを発揮する。1.2トンのボディには十分すぎる数値であり、小さなボディを軽々と加速させる。スポーツモードにすれば、210Nmだった最大トルクがブーストアップにより230Nmに跳ね上がる。それと同時にレコードモンツァがバリバリと張り裂けるようなエキゾーストノートを響かせるのである。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus