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日本初の動物病院医薬分業サービス「12薬局」が変える未来 (1/2ページ)

吉田由紀子
吉田由紀子

 ペットブームの昨今、犬や猫を飼っている方は多いと思う。ペットも人間同様に高齢化が進み、平均寿命が伸びている。20歳を超える犬や猫も珍しくない。

 そんな状況も手伝って、動物病院の数が増え続けている。2009年には全国で1万135軒だったが、2019年には1万2116軒に増加。10年間で2000軒近くが新たに開院している。(農林水産省の統計より、産業動物施設除く)

 ペットの高齢化が進むと動物病院に行く機会も増えるが、飼い主からはこんな不満の声が上がっている。

 「あっと言う間に診察が終わってしまう」

 「症状や薬に関してきちんとした説明をしてくれない」

 「診察後の会計や調剤を待つ時間が長い」

 とりわけ不満を感じているのが、待ち時間の長さだ。なぜ時間がかかってしまうのか。そこには動物病院特有の事情がある。

 人間が病院で投薬をしてもらう場合は、「院外処方」が原則となっている。しかし、動物病院には医薬分業制度がないため、院内で薬を調剤しなければならない。だからどうしても待ち時間が長くなってしまうのだ。体調のすぐれないペットを連れて待たされるのは飼い主も心配だろうし、ペットの症状悪化にもつながりかねない。

 獣医師は本来の診療に専念

 こういった問題を解決する新事業が、今年の4月30日に始まった「12薬局(わんにゃんやっきょく)」である。

 文字通り、犬や猫などの小動物専門の調剤薬局である。どういう仕組みになっているか説明すると、まず動物病院が発行した処方箋を専用のクラウドアプリ、メール、FAXなどで12薬局に送る。それを専門の薬剤師が確認した上で調剤を行う。薬は飼い主の希望の場所へ最短翌日に郵送される流れになっている。診療費、薬剤費は、従来と同様に動物病院へ一括して支払えばOKだ。始まって2カ月余りだが、すでに50軒以上の動物病院が利用している。

 この12薬局を立ち上げた株式会社ブーリアン社に取材をした。

 「動物病院では院内で薬を調剤しなければならず、多大な手間と時間がかかっており、診察にも影響が出るなど問題になっていました。そういった状況をなんとか改善できないかと考えた結果、医薬分業に至りました。そこで当社は独自の調剤業務委託システム『Vets Medicine Operation』を開発しました。これを利用すれば調剤業務を我々の専門薬局に委託することができ、獣医師や動物看護師の負担を軽減できます。また、薬剤の在庫ロスを減らしたり、薬剤師を雇用する人件費も不要になります。その結果、獣医師は本来の診療に専念できるようになり、研修やスタッフとのコミュニケーションの時間を持つことが可能になります」

 多忙な獣医師が調剤、重い負担に

 日本では、獣医師1人で運営する動物病院が約6割を占めている。病院数は増えているものの、大半が地域密着型の小規模な施設だ。薬剤師法により薬剤師以外は調剤できない規定になっており、例外的に獣医師も調剤できるが、薬剤師が常駐する病院は少ないのが現状だ。そのため多忙な獣医師が調剤を行わねばならず、重い負担になっている。

 「犬や猫など小動物用の薬剤は、大半が人間と同じものを使用します。それを体重に応じて計量して服用します。錠剤ですと、1錠を細かく砕いたものを小分けして1回分を袋に入れていきます。このような作業が大変なのです。また、通常の動物病院が在庫する薬剤は、200から300種類と言われています。その薬剤ですべての症状に対処していかねばなりません。ところが最近は獣医療の技術の進歩に伴い、新薬が次々と開発されており薬剤の種類は増えています」

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