また、火星の大気の95%は二酸化炭素ですが、そこから酸素を生成する装置を火星探査機として初めて搭載しており、将来的な有人火星探査のための調査をします。もしこれがうまくいけば帰還用ロケットの酸化剤も現地で調達でき、地球から打ち上げるロケットの重量を大幅に軽量化できるはずです。こうした調査のためにパーセヴェランスは、じつに多くの装置を搭載しています。
【パーセヴェランスが搭載する検査機器】
【Mastcam-Z】 「顔」に搭載されたカメラ。ズーム、フォーカス、3D写真、高速撮影が可能
【MEDA】風速、風向、温度、湿度と、大気中のダスト粒子の量とサイズを測定
【MOXIE】二酸化炭素から酸素を生成するための装置
【PIXL】X線分光器。岩や土壌の超クローズアップの撮影が可能で、微生物の痕跡を探す
【RIMFAX】地中レーダー。地下の地質を調査
【SHERLOC】分光器、レーザー、カメラ「WATSON」の一体装置。サンプルを観察
【Super Cam】「顔」に搭載された分光器、レーザー、カメラの一体装置。原子レベルでサンプルを観察。
大気密度1% 史上初の火星探査「ヘリ」
またパーセヴェランスは、宇宙探査で初めての小型探査ヘリ「インジェニュイティ(Ingenuity)」を搭載しています。今回のミッションの注目ポイントのひとつです。
翼長1.2m、質量1.8kgのこのヘリは、パーセヴェランスのお腹の下に装着されていて、地面に下ろされると二重反転ローターとソーラー・バッテリーによって飛び立ち、上空から撮影します。火星の大気密度は地球の約1%しかありませんが、成功すれば、時速16km程度でしか走行できないパーセヴェランスの調査すべき場所を、上空からナビゲートすることが可能となるわけです。NASAは「地球以外の天体を飛ぶ最初のヘリになる」と説明しています。
パーセヴェランスの開発と打ち上げの費用は24億ドル、運用費用は3億ドル。さらにインジェニュイティの開発費は8000万ドル、その運用費は500万ドルと公表されています。
史上初 火星からの「サンプルリターン」
NASAとESA(欧州宇宙機関)は協力して、パーセヴェランスが採取した火星のサンプルを地球に持ち帰る史上初の計画を立てています。いま想定されているその段取りは以下の通りです。
【1】パーセヴェランスがサンプルを採取して、容器に入れて地表に置く
【2】ESAの火星探査ローバーが容器を最大36本まで回収
【3】NASAの火星着陸プラットフォームが容器を受け取り、火星軌道上へ打ち上げる
【4】ESAの火星周回軌道上の探査機が容器を受け取り、それを再突入カプセルに入れて地球へ投下
ESAのサンプル回収ローバーもNASAの火星着陸プラットフォームも、予定では2026年7月の打ち上げウィンドウに打ち上げられ、2031年に地球へ帰還するとされています。
【宇宙開発のボラティリティ】は宇宙プロジェクトのニュース、次期スケジュール、歴史のほか、宇宙の基礎知識を解説するコラムです。50年代にはじまる米ソ宇宙開発競争から近年の成果まで、激動の宇宙プロジェクトのポイントをご紹介します。