新時代のマネー戦略

40代になったら、知らないでは済まされない「親の介護」の基本 (2/2ページ)

岡本典子
岡本典子

 在宅介護と施設介護のメリット・デメリットを知る

 親に介護が必要になった場合、軽度であれば自宅で介護保険サービスを使い、訪問介護やデイサービスを利用するのが一般的です。ただし、認知症がある場合は、要介護度に関わらず、独居では難しいケースもあります。

 「在宅介護」のメリットは、住み慣れた自宅での生活を継続でき、費用が安く済む点です。反面、家族の負担が大きく、緊急時の対応が不安、寝たきりになる可能性があります。しかし、一番大きいのは、仕事と介護の両立が難しいという点です。

 特別養護老人ホーム(特養)や介護付有料老人ホームなどの「介護施設」に入り介護を受ける場合は、家族の負担は軽くなりますが、費用が高額になる点が一番の懸念材料です。また、親御さんによっては、介護施設に入ることを拒否される方もいらっしゃいます。そのような場合は無理強いせず、できるところまで在宅介護でしのぎ、親も子も在宅での限界が見えてきたら施設を探す方法もあります。

 介護離職しないために、公的な制度を利用する

 自宅で暮らし続けたいという親の気持ちを尊重し、子としてできる限り介護してあげたいと、無理を重ね、仕事に、自分の家庭生活にもひずみが生じ、体調を崩すまで頑張りすぎてしまう人がいます。それは、親、自分、自分の家族にとってベストな選択なのでしょうか?

 介護のために仕事を辞める、いわゆる「介護離職」する人が年間約10万人います。収入はなくなりますし、将来受け取る年金額にも影響が出てきます。仕事を辞めず働きながら介護を続けていくには、育児・介護休業法に基づく2つの制度がありますので、上手に利用しましょう。

 「介護休業制度」は、2週間以上にわたり常時介護が必要な対象家族(※)1人に対して3回まで、通算93日まで休業できる制度です。この期間に、適切な介護サービスなどを探し、介護と仕事を両立させる準備期間として利用します。原則、働く人が事業者に申出を行いますが、事業主はこれを拒否することはできません。介護給付金の給付率は67%です。

 「介護休暇制度」は、対象家族の介護・その他の世話をするため、1年間に5日まで、休暇を取得できる制度です。半日単位での取得も可能で、病院への付き添いなどに利用します。介護休暇における賃金は法的な定めがなく、事業主に委ねられています。

 この他、介護期間中の残業免除、介護のための所定労働時間の短縮措置もあります。企業によってはフレックスタイムや独自の上乗せ制度を用意しているケースもあります。この際に勤務先の就業規則を確認してみてください。

(※)対象家族とは、配偶者(内縁関係を含む)、父母及び子(これに準ずる者として祖父母、兄弟姉妹及び孫を含む)、配偶者の父母です。

 自らが直接身体介護に当たるだけが介護ではない

 食事や入浴、排泄、着替えなどの介護を「身体介護」といいますが、「親に介護が必要になったら、仕事も家庭も犠牲にして、何が何でも自らの手で身体介護を行ってあげなければならない!」と考えなくてもよいのです。

 利用できる制度や介護サービスを使ったり、場合によっては介護施設への入居を検討しなければならないこともあります。それぞれのメリット・デメリットを把握し、自分や親にとってベストな介護法を選択していきましょう。高齢者施設・住宅の種類や概要・費用の目安などに関しては次回書かせていただきます。

岡本典子(おかもと・のりこ)
岡本典子(おかもと・のりこ) ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
FPリフレッシュ代表。有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、東京、神奈川を中心に230カ所以上を訪問。シニアライフを安心・安全・安寧に過ごせる「終のすみか」を探される方の住み替えコンサルティングに力を注いでいる。セミナー講師や講演をおこなうほか、執筆、監修、新聞や雑誌の取材に応じている。著書に『後悔しない 高齢者施設・住宅の選び方』(日本実業出版社)がある。

【新時代のマネー戦略】は、FPなどのお金プロが、変化の激しい時代の家計防衛術や資産形成を提案する連載コラムです。毎月第2・第4金曜日に掲載します。アーカイブはこちら

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