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日本古来の「たたら製鉄」が生きている デザインマンホールの世界 (1/2ページ)

 プロ野球・広島東洋カープの本拠地マツダスタジアム(広島市)が開場10周年を迎えたのを記念し、球団マスコット「カープ坊や」が描かれたマンホールが設置された。製造したのは「友鉄工業」(同市)。広島県内だけでなく中四国を中心に約200自治体のデザインマンホールを手がけている。実は同社は、日本独特の製鉄法で千年以上の歴史があるとされる「たたら製鉄」の流れをくむ鋳造メーカー。マンホールカード集めのブームに象徴されるデザインマンホール隆盛の背景には、古来の伝統技工があった。

 宝探し感覚で

 JR広島駅からマツダスタジアムを結ぶ通称「カープロード」。スタンドへ通じるスロープの前にカラフルなマンホールがある。カープ坊やの周辺に色鮮やかな傘の花が広がっているデザイン。平成30年5月に同球場で開催された開場10周年記念イベント「傘まつり」で、約2500本の傘が球場周辺を装飾したことにちなんだ。

 「今回のマンホールは5つ目。歴代に比べてカラフルで、複雑な文字も入れました」と同社鉄蓋事業部の山下俊哉さん。

 同社がカープ坊やのマンホールを初めて製造したのは、同球場が開場した平成21年。このときのデザインをみると、カープ坊やの周辺は黒色で「HIROSHIMA」などの文字部分は出っ張っている。

 28~30年にカープがリーグ3連覇を果たした際には、それぞれV7~V9の優勝記念マンホールを製作。デザインはカラフルになっていき、文字部分もへこませることができるようになった。

 「球場周辺にはカープ坊やマンホールはいくつもありますが、V7~V9と開場10周年記念のマンホールはそれぞれ一つしかない。宝探しの感覚を楽しんでほしい」と山下さんは話す。

 進化するデザイン

 このようにデザインマンホールは技術の進歩とともに変化してきた。最近では複雑なデザインも表現できるようになり、ここ数年はキャラクターが描かれたマンホールが次々に登場している。

 同県呉市で10枚設置されている「戦艦『大和(やまと)』の一生シリーズ」は、複雑なデザインを表現できていることを確認できる。同県三原市にはアニメ作家のウシロシンジさんがデザインしたキャラクター「ミハリンとタコじい」が描かれている。

 同社は昭和34年創業。昔ながらのたたら製鉄の流れをくむ鍋や釜(かま)、風呂釜の鋳造を手がけてきたほか、高度経済成長を背景にマンホールの鉄蓋、自動車用プレス金型の鋳造へと発展させてきた。

 昭和60年頃、建設省(現国土交通省)が中心になってマンホールのデザインコンクールを開催するなど下水道のイメージアップを図ろうとしたことがあった。平成に入り全国で下水道整備が広がったことでマンホール設置が急速に進んだ。「当時は市町村の花や木、名所などをデザインしたものがほとんどだった」と山下さんは振り返る。

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