たばこから立ち上る副流煙や喫煙者が吐き出す呼出(こしゅつ)煙を吸い込む受動喫煙を、2次喫煙という。改正健康増進法の施行で屋内は原則禁煙となったが、屋外喫煙所付近では2次喫煙の可能性を否定できない。たばこの煙は粒子の大きさが1マイクロメートル程度のPM2・5に該当するエアロゾルである。前述の日本エアロゾル学会の見解によると、マスクはこうしたエアロゾルの吸入防止に有効と考えられる。マスクでは一酸化炭素などのガス成分は除去できないが、タールやニコチンなどの有害物質を含むエアロゾル粒子の低減効果は期待できる。コロナ感染防止と2次喫煙防止のためにも、隙間のないマスク着用をお願いしたい。
受動喫煙には喫煙者の着衣や髪の毛、喫煙場所のカーテンや壁などに付着したたばこの煙の残留物による3次喫煙もある。3次喫煙は喫煙者と一緒に暮らす全ての人やペットにもリスクが及ぶ。対策としては禁煙がベストだが、次善の策として、喫煙者を隔離し屋内で喫煙させないこと、喫煙者やその着衣への接触を避け触ったらせっけんで手を洗うこと、家具やカーテンなどに付着した、たばこの煙残留物を清掃し除去することなどがある。これらは接触感染防止対策と変わるところはない。
ウイルス対策の究極目標はウイルスの根絶である。受動喫煙対策も喫煙者がみな禁煙すれば不要となる。ともに目標が達成される日の到来を心待ちにしている。
(高崎健康福祉大教授 東福寺幾夫)