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親自身で賄えるか 知っておきたい介護施設の費用 (2/3ページ)

岡本典子
岡本典子

 介護施設のタイプにより費用が異なる

 介護を受けて暮らすために入居する介護施設は、税金などで建てられ、低所得の人は軽減を受けられる「公的施設」と、介護事業者などによる「民間施設」に分けられます。

 公的施設には、「特別養護老人ホーム(特養/介護保険上の名称は介護老人福祉施設)」、「介護老人保健施設(老健)」などがあります。

 民間施設では「有料老人ホーム」や「認知症高齢者グループホーム(グループホーム)」などがあります。近年増加している「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」は、安否確認と生活相談サービスの付いた賃貸住宅ですが、介護サービスを別途契約して暮らすことができます。

 費用が安い特養は一番人気ながら…

 介護施設と聞くと、費用の安い「特養」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。特養は、常時医療ケアを必要としない、要介護3以上の人が介護を受けて日常生活を続けられる公的施設です。

 入所時の一時金は不要です。毎月必要な月額費用は、居住費(部屋代)、食費と、要介護度に応じた介護費用です。近年、4人部屋などの相部屋方式から、プライバシーの保てるユニット型個室方式に移行してきています。こちらは食堂兼リビングを中心とし、おやすみになるのは個室というタイプで、相部屋方式よりは高額です。 公的施設は、低所得者には居住費・食費に対する補足給付があるため、所得により支払い金額が異なります。特養の費用は、介護費用を入れて5万円~16万円になりますが、個室利用の場合は20万円を超えるケースもあります。

特養の費用=移住費+食費+介護保険自己負担金(1割・2割・3割)

※居住費と食費は、低所得者には補足給付がある

 特養への入所申込は原則、要介護3以上です。じわじわと要介護度が進んでいく場合は、家族の介護力がないと、要介護3まで自宅で介護サービスを利用して生活するのは難しいかもしれません。また、他の類型より費用が安いことから人気があり、数カ月から数年の待機が必要な場合も多くなっています。待機状況はエリアや特養によってバラつきがあるのが現状です。

 使い勝手の良い老健を上手に利用する

 費用が安く、終のすみかにもなる特養入所を希望してもなかなかすぐには入れないという場合は、要介護1から入所可能な「老健」を探してみるのも一手です。

 老健は、在宅復帰を目指してリハビリを行う介護施設という位置付けで、入所期間は原則3カ月間です。しかし、待機者がいない場合は6カ月間、また1年程度入所できる場合もあります。月額費用は、平日の昼間は医師がいて医療ケアやリハビリが受けられることもあり、特養より1万円程度高くなっています。

 代表的な選択肢である有料老人ホームとはどんな施設?

 要介護・要支援の方々の選択肢となる代表的な施設が「有料老人ホーム」です。介護付、住宅型、健康型の3タイプに分かれていますが、24時間いつでも介護を受けて暮らせることを重視するなら、「介護付有料老人ホーム」が最適です。

 入居時に数十万~数千万円の前払金(入居一時金/家賃の前払金)が必要で、月額費用は管理運営費、食費、それぞれの要介護度別の介護費用などで20万円~30万円程度です。

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