お金で損する人・得する人

人口が50万人減る社会 頼みの年金はいくらもらえるか (2/2ページ)

高橋成壽
高橋成壽

 老後資金2000万円問題に置き換えて考えてみる

 令和元年の金融審議会市場ワーキンググループによる報告書では、老後資金2000万円を計算するのに、年金収入19万円、生活費26万円とありました。現在の所得代替率を60%とし、これが50%、40%に低下していく場合、どのような資金繰りとなるのでしょうか。

 いかがでしょう。直視できないほどの金額になっていませんか? 少なくとも筆者は自分で用意できる気持ちになりません。

 2000万円どころか6000万円必要です。しかも、この数値には介護費用などは含まれていないのです。もし政府がこのような試算結果を出してしまえば、大変なことが世の中で起きてしまうかもしれませんから、容易に試算もできません。

 将来の年金減に備えて投資は必須

 老後資金が2000万円~6000万円といわれてもピンとこない人が多いでしょう。では、30歳から60歳まで30年間で貯めようと考えた場合はどうでしょう。2000万円貯めるには毎月5.6万円×360カ月が必要です。6000万円貯めるには毎月16.7万円の積み立てが必要になります。日々の生活を送りながら、毎月5万円以上、17万円近く積み立てることはほとんどの場合できないでしょう。

 従って、生き残るには投資するしかありません。毎月3万円を30年間積み立てた場合(運用利率5%)、30年後に2392万円になります。これを5%で運用しながら取り崩すと総額で4664万円受取ることができます。

 このように考えると、少額で構わないので一日も早く積み立てを始めることが大切になります。今回の試算のように30歳からではなく25歳から積み立てを始めればその分含み益も増えますから、受取総額も増加します。まずは少額でもいいので積み立てを始めてみましょう。動き始めてわかることもたくさんあります。未来の自分を救うのは自分自身だと肝に銘じましょう。

高橋成壽(たかはし・なるひさ)
高橋成壽(たかはし・なるひさ) ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
寿FPコンサルティング株式会社代表取締役
1978年生まれ。神奈川県出身。慶応義塾大学総合政策学部卒。金融業界での実務経験を経て2007年にFP会社「寿コンサルティング」を設立。顧客は上場企業の経営者からシングルマザーまで幅広い。専門家ネットワークを活用し、お金に困らない仕組みづくりと豊かな人生設計の提供に励む。著書に「ダンナの遺産を子どもに相続させないで」(廣済堂出版)。無料のFP相談を提供する「ライフプランの窓口」では事務局を務める。

【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。アーカイブはこちら

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