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思わず見惚れる造形美 マツダ新世代モデルへの期待がぐっと高まるMAZDA3 (2/3ページ)

SankeiBiz編集部

 研ぎ澄まされたデザインセンス

 運転席に収まると、これまた優雅で洗練された空間に包まれる。第一印象は「シンプル」。おそらくこれが「引き算の美学」なのだろう。余計な加飾は見当たらない。かといって物足りなさもない。エレガントという言葉がしっくりくる。

 深紅の本革シートやインパネトリムに配した合皮、エアベントやスイッチ類にあしらったメッキパーツなど、複数の素材をセンス良く組み合わせている。細部に施したステッチやスイッチ類のカチッとした感触からは、一つひとつこだわりながら、丁寧に作りこんだ様子がひしひしと伝わってくる。これが「魂を込める」ということなのだろう。この手作り感が温もりや感情という形でドライバーを刺激し、品質の高さがクラスを超えたプレミアム感を醸し出しているのだと思えた。高級輸入車ならまだしも、222万円スタートの国産Cセグ車だ。個人的には、他の日本メーカーでここまで研ぎ澄まされたデザインセンスや上質感に浸れることはないと思えるほどに、惚れこんでしまった。

 MAZDA3には「ガソリンとディーゼルのいいとこ取り」などと高く評価されている話題の新世代ガソリンエンジン、「SKYACTIV-X」が昨年12月に追加投入されたが、今回は1.8Lクリーンディーゼルに試乗した。

 出発後の最初の印象は、初速~中速度域のトルクが予想に反して細いということだ。アクセル操作に対してまろやかな反応を見せる。ステアリングは遊びが少なく手ごたえのあるタイプで、操舵に対してごく自然にジェントルに応答する。乗り手によって意見は異なるかもしれないが、このしっとり滑らかなステアリングフィールは、私が個人的に持っているマツダ車特有の感覚だ。

 高速道路でアクセルを踏み込むと、4500回転付近までスムーズに回るが、その先は伸び感が薄れていく。以前試乗した2.2Lディーゼルの先代アクセラ(420Nm)の力強い感覚が残っていたこともあるのだが、今回の1.8L(270Nm)はどちらかというと、1.5LのCX-3に近似する感覚がある。

 足回りは硬めで路面からコツンコツンと小さな入力が伝わってくるが、ショックの処理が早く不快感を残すことはない。静粛性の高さは、ロードノイズの大きさにガッカリした先代アクセラからの大きな改善点だ。ディーゼル特有のカラカラ音も、停車中にわずかに聞こえる程度で、いったん走り出せばまったく気にならなかった。

 走行感覚は速度域を問わず安定感たっぷり。駆動トルクを制御して操安性や乗り心地を向上させる「G-ベクタリングコントロール」が寄与しているようで、コーナリング時の姿勢も安定している。多少の下手な運転も、加速や舵角などから挙動の乱れなどを感知し、電子制御でバランスを正してくれるのだ。

 ブレーキペダルを踏んだ時の感触は秀逸で、ドライバーの感覚と実によくマッチしていた。低速走行時のブレーキングで突然カックンと減速することもない。ドライバーの踏み込みに対してわずかにペダル側から押し返してくるような反力があり、踏み込み具合がミリ単位で分かりやすいのだ。このあたりにもドライバーの操作感覚に重点を置いた徹底したこだわりを感じる。

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