受験指導の現場から

東京で年収500万円VS地方で年収600万円 大学受験に懸けなくもいい職業 (2/2ページ)

吉田克己
吉田克己

 都道府県別にサラリーマンの平均年収と地方公務員の年収を比較してみると、すでに大きく逆転していることが分かる。ちなみに、筆者の出身地では、サラリーマンの平均年収が約490万円であるのに対し、地方公務員の年収は660万円余りである(ただし、公務員の都道府県別の年収は中心化傾向が強く、700万円以上を望むには出世しなければならない)。

 大学入学時や就職時に東京に出てきて、家賃(住宅ローン)を払い続けながらの年収500万円と、親元で暮らす(独立しても安い家賃で暮らす)年収600万円とでは、どちらにゆとりがあるか。そこには「公務員は安定だから」というだけではない歴然さがある。

 これはあくまでも筆者の主観だが、高給が取れる企業に就職できない限り、地方出身者が東京で就職することに合理性はないし、高給が取れる仕事に就ける見込みがない大学に進学する優位性もない。

公務員として就職するためのルート

 さて、大括りに「公務員」と言っても、職種はさまざまである。一般的には役所勤めが想像されるが、先に触れたように、小・中・高校の教諭も公立であれば公務員だし、看護師や管理栄養士、理学療法士なども公立の医療機関に勤めていれば公務員である。税務職員、裁判所の事務官、衆参両院の事務局職員や、自衛官・警察官・消防官(救急救命士)・食品衛生監視員といった国民の生命と安全を守る仕事も公務員である。

 では、昨今の公務員人気のなか、高卒または大卒資格で公務員として就職したい場合、どんなルートがあるのだろうか?

 なお、ここからは、話を単純にするため、看護師や国税専門官といった専門性の高い職種や、国家公務員の総合職を筆頭とする難易度の高い職種ではなく、国家公務員の一般職(大卒程度、高卒・社会人)と地方公務員の行政職(事務系職種/初級、中級、上級)、及び難易度的にそれらに準ずる公務員試験を念頭に話を進める。

 大学全入時代となって久しい折、高校3年生のうちに、あるいは高校卒業直後に、国家公務員の一般職(高卒・社会人)や地方公務員の行政職(初級)の試験を受けて公務員になろうとするケースは少ないだろう。たいがいは、大学・短大・専門学校在学中に国家公務員の一般職(大卒程度、高卒・社会人)、あるいは地方公務員の行政職(事務系職種/中級、上級)を受験することになる。

 もし、あなたの子どもが高校生で就職先の第一志望が公務員なら、とくに地元の地方公務員を考えているのなら、「少しでも上位の大学へ」とばかりに大学受験にばかり血眼になるのは、親子共々止めたほうがいい。

 偏差値的には中堅以下が中心となるが、公務員試験対策講座を開設している大学・短大は何百校とあるし、学科として公務員専攻を設置している専門学校もある。場合によっては2年間、短大か専門学校に通いながら、大学編入試験(3年次)と公務員試験の両立てで学生生活をスタートするという手もある。

 一般職の公務員であれば、必ずしも学歴がものを言うとは限らない。一次選考を通過できても人物重視の二次選考(面接)で不合格となることも少なくはない(仄聞するところによると、二次選考重視の傾向が高まっているようだ)。実際、筆者が知るところで、MARCHに在学中の学生(男)が一次選考を通過しながらも二次選考で不合格となった例がある(けっきょく留年して、翌年に別の県に合格したのであるが)。

 ルートごとに、必要とされる学力などが異なってくるため、向き不向きがあることを踏まえ、子どもそれぞれにとっての最適解を見つけたい。

京都大学工学部卒。株式会社リクルートを経て2002年3月に独立。産業能率大学通信講座「『週刊ダイヤモンド』でビジネストレンドを読む」(小論文)講師、近畿大学工学部非常勤講師。日頃は小~高校生の受験指導(理数系科目)に携わっている。「ダイヤモンド・オンライン」でも記事の企画編集・執筆に携わるほか、各種活字メディアの編集・制作ディレクターを務める。編・著書に『三国志で学ぶランチェスターの法則』『シェールガス革命とは何か』『元素変換現代版<錬金術>のフロンティア』ほか。

受験指導の現場から】は、吉田克己さんが日々受験を志す生徒に接している現場実感に照らし、教育に関する様々な情報をお届けする連載コラムです。受験生予備軍をもつ家庭を応援します。更新は原則第1水曜日。アーカイブはこちら

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