ヘルスケア

信号機や案内板…東京五輪に備えよ 急がれるカラーユニバーサルデザイン化 (2/2ページ)

波溝康三

 長所も…多様な個性を尊重

 色弱者は不便なことばかりなのか?

 「実は色弱の人は、形の違いを認識する能力が高い-という医学的なデータがあります。例えば、草と同じ色をしたバッタを他の子供たちよりも明確に判別でき、より多くつかまえることができる色弱の子供もいます。薄暗い場所で形の違いを判別できる能力が高いことも分かってきています」と伊賀さんは語る。

 強度の色弱者である岡部教授自身、子供の頃、友達よりもバッタ捕りが得意で、川の中の魚影なども友達よりもいち早く認識できたという。

 新型コロナウイルスの影響で、東京五輪開催が、来年夏へ延期されることが決まったが、海外から来日する大勢の外国人のためにも、国内での世界共通のカラーユニバーサルデザイン化が急がれている、と伊賀さんたちは訴える。

 「携帯電話のカメラ機能を使って、食べ物など対象物を撮影すると、色弱の人に、その正しい色が、スマホ画面で瞬時に判別できるようにした無料のアプリなども開発されており、技術的にも色弱者を支援するシステムが次々と生まれてきています」

 取材中、黄緑とピンク色、2種類のジュースが運ばれてきたとき。「両方同じ色に見え、どちらを注文したのかが分からない」と伊賀さんは言った。そして、スマホを取り出し、色弱者用に開発されたアプリを使い、2種類のジュースがどんな色に見えているかを教えてくれた。

 その映像は確かにほとんど同じ色で区別がつかなかった。

 「どうすればいいのか?」と聞くと、「簡単ですよ。コップにマジックでジュースの種類の名を書くだけで分かることなんです」

 色弱者の数は日本国内だけでも300万人以上いるという。真の国際化に向けた早急なカラーユニバーサルデザイン化が求められている。

波溝康三(なみみぞ・こうぞう) ライター
 大阪府堺市出身。大学卒業後、日本IBMを経て新聞記者に。専門分野は映画、放送、文芸、漫画、アニメなどメディア全般。2018年からフリーランスの記者として複数メディアに記事を寄稿している。

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