新型コロナウイルスの影響で多くの学校行事に影響が出るなか、運動会や体育祭も様変わりしている。中止とする学校が多く、開催する場合も来場者を制限したり、種目を減らしたりして規模を縮小している。落下事故などの危険性が指摘されてきた組み体操は、感染拡大につながる接触が多いとして行わない学校が増えそうだ。(木ノ下めぐみ)
6年生だけで
大阪府東大阪市の市立英田(あかだ)南小は1~5年生の運動会は実施せず、10月30日に6年生89人だけで行う。全学年での実施も検討したが、近隣には全面中止を決めた小学校もあり、参加者が多ければ感染症リスクも高まると判断した。
例年、6年生の花形種目となっている騎馬戦は、接触を防ぐため中止に。比較的子供同士の距離がとりやすい大玉転がしや棒引きなどの種目を中心に構成する。それでも狩元渚さん(12)は「騎馬戦ができないのは残念だけど、誰のせいでもない。今できることを全力で楽しむ」。植田修史さん(12)も「下級生の応援がないのは寂しい。でも運動会をとても楽しみにしていたので、中止にならなくてうれしい」と練習に励む。
6年生は修学旅行が中止となり、日帰りの校外学習に変更された。池田ゆり校長は「6年生に『コロナのせいで何もできなかった』と思わせたくない。一つでも多くの思い出を作りたい」と話す。
代替イベント検討
体育祭や運動会は春に予定していた学校もあったが、臨時休校の影響で中止を余儀なくされたところも多い。
同府教育庁の調査では、府内の公立高校の約半数の74校が今年度の体育祭や運動会の中止を決めた。担当者は「体育祭は当日だけではなく、準備期間がかなり必要。授業日数の確保やコロナ対策など難しい部分もある」とする。
毎年5月に京セラドーム大阪(大阪市)で開いている体育祭を中止とした奈良県の私立西大和学園中学・高校は現在、代替のスポーツイベントを検討中だ。同校は「ドームで一丸となって競技を行うことは何ものにも替えがたい経験だが、中止はやむを得なかった」と振り返る。
バトン消毒、騎馬戦せず
体育祭や運動会を開催する場合も、各校は感染予防に細心の注意を払う。
同府立岸和田高校(同府岸和田市)は29日、体育祭を開催したが、保護者ら来場者を入れず、生徒だけとした。競技も、リレーはレースごとにバトンを消毒。玉入れはマスクを着けたままで、球を投げる位置も決めて接触を減らした。また、騎馬戦などの種目は取りやめ、全体の時間を1時間半短縮した。
同庁がまとめた感染症対策マニュアルでは、体育祭や運動会については密集する競技を見直すよう求めている。このため、練習や本番で骨折などの事故が相次いでいて近年問題となった組み体操も、もともと実施しない学校が増えていたところに子供同士が接触することを考慮し、見送る学校が増えそうだ。
同庁の担当者は「具体的な種目名を挙げてやめるように通知したわけではないが、身体接触が多い組み体操は感染防止策を取りにくい。今年は中止を決める学校が多いのではないか」と話している。