ヘルスケア

トップ会談も移転結論持ち越し 静岡市清水区の桜ケ丘病院問題

 静岡市の田辺信宏市長と独立行政法人「地域医療機能推進機構(JCHO)」の尾身茂理事長は13日、東京都内で会談し、機構が運営する桜ケ丘病院(静岡市清水区)の移転問題について意見を交わした。焦点の移転先に関しては結論を持ち越し、まず地域の医療提供体制のあり方を議論した上で、12月初旬に移転の是非も含めて一定の結論を出す方向で一致した。

 移転問題をめぐり市は6月、老朽化が進む桜ケ丘病院の意向を踏まえ、移転先として市清水庁舎の駐車場を提案した。しかし、病院側は9月中旬、一転して土地の狭さなどを理由に「移転先として適さない」と市側に伝達。これに対し田辺氏は「納得できない」として、尾身氏との会談で真意を確認する意向を示していた。

 市によると、会談は田辺、尾身両氏のほか、市と機構の幹部も同席。移転をめぐる病院側の回答の真意を確認する田辺氏に対し、尾身氏は「いま結論を出すのはやめて、先に清水区内の医療のあり方を議論した上で結論を出しましょう」と提案。田辺氏も理解を示した。

 今後は市や桜ケ丘病院のほか、県や地元医療機関の関係者も参加する方向で、地域の医療機関の役割分担を改めて協議する。その中で桜ケ丘病院の必要な病床数といった規模や機能も明確になり、現在の建物の耐震化か、移転かの方向性を示す運びだ。

 会談後、田辺氏は記者団に「課題を共有し共同歩調をとることで合意した」と述べた。尾身氏は移転について「結論ありきではない。いろいろなオプションを議論すればいい」と指摘。地域でどのような医療ニーズがあるかなど「本質的な議論が必ずしも十分にされていなかった」とも語った。

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