3:ネットで検索
「葬儀をどうするか」と悩んだとき、真っ先にインターネットで検索する人も増えている。
「なるべく費用を抑えて葬儀ができないか、と息子に頼んでネットで調べてもらった」。こう話すのは千葉県在住の50代の石川明美さん(仮名)。4月末に父を亡くした。
「父は兄弟とも疎遠。老人ホームにいる母の生活費もかさんでいるし、葬儀にお金をかける余裕がなく、お通夜を省いた一日プランを選んだ。参列したのは、家族と父の旧知の友人合わせて10人ほどだった」
ネットで探した葬儀社は、費用は30万円ほどと表示されていた。ただ、病院から斎場が遠く、寝台車(霊柩(れいきゅう)車)の追加料金がかかった。含まれると思っていた火葬料金も別だった。「オプションもあって、結局、50万円くらいになった」と石川さん。
ネットでは「低価格の葬儀」を派手な活字で広告する業者もいる。肉親の死を前に難しいことではあるが、いったん心を落ち着かせ、冷静になって記載内容をよく見て確認したい。
4:寺院を頼る
付き合いのある寺があるのであれば、「寺で葬儀をする」という選択肢もある。
自分の家が所属している寺(旦那寺)の本堂で葬儀をしたという大阪府の篠山大輔さん(仮名、60代)は、今年1月のことをこう語る。「ずっと檀家(だんか)で、いまの住職とは昔なじみ。父も先代からお世話になっており、前々から本人がお寺で葬式やってもらいたいと話していた。父も良くしてもらったお寺で葬儀してもらえて安心だっただろう」と満足している。
コロナ騒動前とあって、通夜・告別式には150人ほどが参列したという。本堂を葬儀会場にする作業は、お寺が懇意にしている葬儀社が入った。
「病院で看取ってから、寺を通じて葬儀社に連絡したらすぐに搬送の手配もしてくれた。費用は150万円ほど。それとは別にお布施は弾んだ」という。
ただ、寺檀関係を持たない人には選択しづらいかもしれない。また、代々付き合っている寺があるのに、別の寺で葬儀をあげてしまうとトラブルのもとにもなる。すべての寺が対応してくれるわけではないし、昨今の状況であれば、寺側に消毒、風通し、周囲の人との距離確保といった配慮も求められる。(『終活読本ソナエ』2020年夏号から随時掲載)