節約家計簿

要介護1と2の住み替え先検討を 特養はもうすべての人に安い施設ではない

 20年近く前から高齢者施設の見学を続けています。今年は新型コロナウイルスの影響で、施設に足を運べるのは、住み替えを検討している方の見学同行のみ。施設見学が難しい状況ですが、介護や高齢者施設にかかる費用の取材を受ける機会は増えています。またコロナによって、介護にもさまざまな影響が出ています。

 たとえば、デイサービスやショートステイの受け入れ人数に制限を設ける事業所が増加。高齢のヘルパーさんが感染したり、利用者にうつすのを恐れたりして、仕事を休んでいる話も耳にします。一方、コロナの影響で在宅勤務をする方が増え、家族だけの在宅介護が成り立っている話もたくさん聞きました。

 個人相談で気になるのは、介護が必要になったら特別養護老人ホーム(特養)への入居を考える方が少なくないこと。要介護3以上でないと、特養への申請ができない現実を知らない方が多いのです。老後に1人暮らしをする場合、要介護1と2はどこで介護を受けるのか、検討が必須です。住み替え先としては、介護付有料老人ホームや介護型ケアハウス、「特定施設入居者生活介護」の認定を受けているサービス付き高齢者向け住宅などが候補になります。いずれも24時間、365日の介護に対応しているからです。

 要介護3以上で特養に住み替える場合も、資産の多い方は注意が必要です。夫婦で2千万円超、単身で1千万円超の資産があると、軽減措置の対象外に。さらに軽減措置の対象外となる資産額は、引き下げも予定されています。

 現時点の基準では、単身で1千万円超の資産を持ち、公的介護保険の自己負担割合が3割の方が特養のユニット型個室に入居すると、ひと月の負担は22万円から24万円くらい。これだけの費用を払うなら、要介護3以上でも他の高齢者施設との費用比較をすべきです。制度の改正で、特養はすべての人に安い施設ではなくなったことを知りましょう。

(ファイナンシャルプランナー 畠中雅子)

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