Win-Win
「人口減少に伴って県営住宅周辺から撤退する店が増える一方、入居者の高齢化が進み、買い物をしやすい環境づくりが必要になっている。こうした課題を解決しようと、移動販売を始めることになった。高齢入居者が移動販売を利用するようになれば、見守りと同じ効果が得られ、孤独死を減らすことにつながるのではないかと考えている」と細川氏は説明する。
期待される効果はそれだけではない。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、売り上げ減少に苦しむ商店も多い。移動販売で販路が拡大すれば、地元経済を回すきっかけになる可能性もある。また、障害者が就労する施設で作った商品が移動販売で売れれば、障害者の雇用や賃金にプラスの効果をもたらす。
将来的には、移動販売を利用した高齢入居者が社会福祉法人の施設を利用するようになり、孤独死のリスクを低減するとともに、法人の経営安定に寄与することも視野に入れている。
今回の移動販売では、企業、団体や商店にとって商売として成り立つかどうかをチェックするとともに、顧客満足度などを調査する予定だ。
高齢入居者の見守りや、地域活性化、障害者の就労機会の拡大など、さまざまな可能性を秘めたこの取り組み。新潟発の社会的課題解決のイノベーションとなるのか注目される。