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温暖化でハリケーンの勢力維持 内陸部で被害増大の要因か

 大西洋海域などで発生するハリケーンが上陸後も勢力が弱まらず、内陸部に大きな被害をもたらしているのは温暖化の影響であるとする研究成果を、沖縄科学技術大学院大が発表した。英科学誌「ネイチャー」に11日、論文が掲載された。今年は記録的な数のハリケーンが北米に上陸して被害が広がっているが、今後は沿岸地域だけでなく、内陸部でも備えを拡充する必要がありそうだ。

 海上で発生したハリケーンは、海面からの水蒸気をエネルギー源として発達し、移動する。上陸して水分が供給されなくなれば勢力が弱まる。

 研究チームは、1967年から2018年の間に北大西洋から上陸した71個のハリケーンを分析。その結果、それぞれが上陸後、勢力が4割ほどに弱まるまでにかかる時間は、この50年で約2倍に増えていることが分かった。

 そのうえで、ハリケーンのシミュレーション(模擬実験)を行い、より海面の温度が高い海で発達したハリケーンの方が衰えにくいことを確認した。ハリケーンは海水温が高い海上を通過すると、より多くの水分を蓄えることができる。水分を使い切るまで時間がかかることから上陸後も勢力を維持していると考えられ、地球温暖化による海水温の上昇が原因であると結論付けた。

 今回の成果について、ピナキ・チャクラボルティ教授は「地球温暖化に対処する政策を考えるうえで非常に重要な意味がある」と指摘する。現在進めている研究で、太平洋上で発生する台風でも同様の現象が起きていることが分かっており、今後詳しい分析を進めるとしている。

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