クルマ三昧

走れば走るほど空気がきれいに… 新型ミライがドライバーの環境意識を変える (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

空気の浄化具合をメーターで表現

 ミライは発電のために多くの空気を取り入れ、空気と水素を化学反応させる。その吸入した空気をさらに浄化して排出する「空気清浄システム」を組み込んでいるというのだから驚きである。

 空気清浄システムでは、エアクリーナー内部に性質の異なるフィルターを組み込み、汚染物質を除去する。ケミカルフィルター表面のアルミハニカム形状に化学物質除去剤で加工を施し、アルカリ活性炭や二酸化マンガンで有害物質を除去。別のダストフィルターでは静電気によりダストを吸着させる。たとえば有害なPM2.5であれば99.7%除去できるという。CO2こそ吸収しないものの、有害物質の二酸化硫黄(SO2)、窒素酸化物(NOx)、アンモニア(NH3)なども除去する。こうしたフィルターの効果で、走るだけ空気がきれいになっていくのである。

 しかも、その目に見えない様子を視覚化させている。室内の「エアピュリフィケーションメーター」では空気の浄化具合をアナログ調で表現している。まるでターボ過給を指し示すメーターであるかのように、アクセルペダルを踏み込むと高まり、アクセルペダルの力を緩めると下がる。加速すればするだけ、空気を浄化していることを示しているのだ。

 空気清浄の積算値はランナーが走る様子で表現している。積算値が増えれば増えるほど空気の浄化に貢献していることになる。究極のクリーンカーに乗っている実感が得られるのだ。

 燃費計が普及して久しい。それにより、ドライバーの環境意識が高まったように思う。燃料を節約することは空気の汚染を抑えることでもあり、燃費計からはその実感が得られる。

 近い将来、「エアピュリフィケーションメーター」が常識になるかもしれない。走れば走るほど空気がきれいになっていくなんて夢のようなことがもう現実に起こっているのだ。環境意識を高めるためにも、新型ミライの果たす役割は大きい。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】こちらからどうぞ。

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