書評

『着物の国のはてな』片野ゆか・著 「伝統のルール」実は戦後から

 日本独自の衣服なのに、遠い存在となっている着物。堅苦しいルール、手が出ない高価格。敬遠したくなるイメージがつきまとう。

 本書は和服を生活に取り入れたいと考えた著者が、「着物の国」に飛び込んで抱いた疑問を解き明かしたノンフィクションだ。日本人は戦前まで着物を自由に着こなしていた。伝統とされるルールが戦後のものにすぎないことや、着物業界のビジネスの不透明さを遠慮なく指摘したくだりは痛快。一方、着物初心者の著者が和服姿で愛犬の散歩に颯爽(さっそう)と繰り出す描写はなんとも楽しげで、着物ライフに一歩足を踏み入れたくなる。(集英社、1500円+税)

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