クルマ三昧

スカイラインが「日本ネーミング大賞」優秀賞に 長寿車に共通する車名とは (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

無機質な車名が増える理由

 アルファベットと数字から構成される車名の代表はレクサスであろう。「UX」「IS」「NX」「LS」であり「LFA」である。門外漢には、にわかにクルマを思い浮かべづらい。一旦脳内で活字にせねばならず、ストレートにイメージが浸透してくるかといえば、否であろう。

 それには訳(わけ)がある。それぞれのモデルを単体で認知してもらうのではなく、メーカー名をブランドとして浸透させる効果があるのだ。ドイツ御三家のBMW、メルセデス、アウディが徹底して数字とアルファベットの組み合わせにこだわるのは、そういう理由がある。

 BMWは、ボディサイズの小さい方から順に1、2、3、4…8へと続く。頭の数字の次は、排気量なりパワーなり、数字の大きい方がハイパフォーマンスであり高価な傾向にある。「318i」よりも「745i」の方が効果でパワフルなことを数字で伝える。そしてそこには、すべてがBMWのモデルだという自負がある。レクサスの戦略はブランドの浸透である。

 「どのクルマを所有していますか?」

 この質問に対して日産ユーザーはこう答えることだろう。

 「はい、スカイラインに乗っています」

 だが、BMWオーナーは誇り高くこう答えるに違いない。

 「はい、BMWです」

 トヨタや日産のユーザーが、「トヨタに乗っています」「日産に乗っています」と口にすることは少ない。ブランドの浸透としては、アルファベットと数字に組み合わせの方が都合が良いのだ。

 ただ、その無機質なネーミングが商品名として長く愛され続けるかといえば、首をかしげたくなる。やはり、ストレートにモデルのキャラクタターやスタイルを想像しやすい「スカイライン」や「フェアレディZ」が優れている。

 なぜ、今になって「スカイライン」が日本ネーミング大賞2020年の優秀賞に選ばれたのか…。あるいは、決して絶版の道に進むのではなく、今後も長くその名を生きながらえてほしいという期待なのかもしれない、と感じた。日本の伝統的な車名として…。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】こちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。

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