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勝負の3週間…人出減らず 忘年会が底上げか、繁華街微増も

 政府が新型コロナウイルス対策として、人々の行動に注意喚起を促した「勝負の3週間」が15日で一区切りを迎える。感染拡大を左右する人出はこの3週間の主要繁華街で一部で微増し、最大でも2割弱の減少にとどまったことが、スマートフォンアプリの位置情報を基にしたデータ分析で分かった。前年同時期に比べれば4~7割減っているものの、この季節に多い忘年会などの会食の機会が人の流れを生み、自粛効果が十分ではなかった可能性がある。(荒船清太)

 「断りづらくて…」

 「社内の忘年会・新年会はさすがに中止になったが、取引先との忘年会はなかなか断りづらくて…」

 都内で勤務する30代の男性会社員は例年よりは少ないものの、今週も取引先との少人数の忘年会の予定はキャンセルできないでいる。

 データをみても、人出の減少具合はそれほど大きくない。システム会社「アグープ」で、東京や大阪など全国の5つの主要繁華街のデータから午後7時台の7日間平均の人出を算出。「勝負の3週間」の前日の11月24日を100%として比べると、減少幅は少ないどころか、微増した地域もあった。

 12月13日時点での7日間平均人出は北新地(大阪)とすすきの(北海道・札幌)は86~88%まで減少したものの、栄(愛知・名古屋)はほぼ変わらず。歌舞伎町(東京)はわずか1ポイントながら増加していた。

 ただ、午後11時台の人出は同7時台よりも減り具合が激しい地域が多い。同7時台は「勝負」前と変わらなかった栄の人出も同11時台では12月13日には94%に減少。北新地は時短要請の影響もあってか73%にまで減っており、繁華街での外出時間だけは着実に減ったといえそうだ。

 会食の人数は減少

 一方、国内の飲食店6千店舗以上に予約顧客管理システムを提供する「テーブルチェック」(東京)によると、12月の飲食店の平均予約人数は前年が4・0人だったのが今年は6日時点で2・9人。外食するにせよ、この期間中に一緒に会食に集まる人数は減っていることもわかった。

 西村康稔経済再生担当相は11月25日に、新型コロナ第3波に備え「この3週間が勝負」として対策強化を打ち出したが、その後、都市部を中心に新規感染者数が拡大。週末の12日には1日の国内感染者が初めて3千人を突破し、政府の観光支援事業「Go To トラベル」は12月28日から来年1月11日まで、全国で一時停止する事態にまで発展した。

 飲食店のデータに詳しい関係者は「12月は11月よりも予約の絶対数が多いため、人出の減少につながりにくい」と分析。忘年会などの会食が勝負の3週間の人出を押しあげた可能性を指摘している。

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