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プロ野球は120試合“完走” 収入確保に課題も 

 【コロナの1年】

 プロ野球は11月25日、ソフトバンクの4年連続の日本一で幕を閉じた。シーズンを完遂した日本野球機構(NPB)の斉藤惇コミッショナーは「プロ野球の文化を守るという目標に向け努力した。球団関係者、医療従事者らが難局を乗り切るために一体となって進めていった」と振り返り、関係者に改めて感謝の意を表した。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、3月20日の開幕が延期され、NPBは慎重に開幕時期を探った。ある球団幹部は「(2011年の)東日本大震災では、セパの足並みがそろわなかったが、今回はそろえたいとの思いがあった。政府関係者との協議もしっかり行った」と振り返る。

 Jリーグと連携して「新型コロナウイルス対策連絡会議」を設置。感染症に詳しい専門家チームから意見を聞きながら、感染防止のガイドラインを作成した。交流戦とオールスターは中止となり、公式戦は143試合から120試合に短縮。上位3球団で争うクライマックスシリーズ(CS)は、セ・リーグが中止、パ・リーグは1、2位の対戦に絞り、3戦先勝の4試合制で実施することを決めた。6月19日、公式戦では史上初となる無観客での開幕にこぎつけた。

 シーズン停止の危機も何度かあった。9月には阪神の主力ら5選手を含む計9人の感染が判明。10月にもロッテの1軍選手8人を含む計14人の感染が判明した。ロッテの場合は、チーム関係者に月1度のペースで実施している直前のPCR検査で陰性が確認されており、約10日間で感染が広がったとみられる。ロッテの松本尚樹球団本部長は「感染経路は全く分からない。怖いウイルスだと改めて感じた」と述べた。

 サッカーのJリーグでは、保健所の指導に従って活動を休止したJ1鳥栖の例もあり、保健所の判断次第ではシーズン停止の可能性も少なからずあった。最悪の事態は免れ、阪神とロッテは、1、2軍の選手を大量に入れ替え、予定通りに試合を挙行した。

 観客の受け入れは7月10日から上限5千人で開始。9月19日以降は「会場収容数の50%まで」と緩和されたが、今季の観客動員数は昨季の5分の1以下の約480万人にとどまった。各球団とも近年はチケットやグッズ収入で収益を確保しており、球団経営は厳しい。ロッテの河合克美オーナー代行兼球団社長は、今季の球団収支について「数十億円単位の赤字になる見通し」と厳しい経営事情を明かす。来季以降もコロナ禍の影響が続く可能性はあり、新たな収入源の確保が課題となる。

 試合後の取材はビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」などを利用してリモートで行う球団や、数人の代表取材に応じる球団など対応が異なった。いずれにしても選手と接触する機会は限りなく減った。試行錯誤しながらのシーズン。曲折はありながらも、斉藤コミッショナーが掲げた「スポーツの文化を守る」との使命はなんとか果たされた。(運動部 神田さやか)

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