菅義偉首相は5日の自民党役員会で、新型コロナウイルス対応のための特別措置法に基づく緊急事態宣言について、専門家で構成する基本的対処方針等諮問委員会を7日に開き、発令を決める方針を表明した。対象地域は東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県で、7日か8日に発令し、期間は1カ月とする方向だ。内容は飲食店への制限が中心となる見込みで、政府は営業時間短縮要請の実効性を高めるため、要請に従わない店の名称を公表できるよう、特措法に関する政令の改正も行う方針だ。
首相は役員会で「国民が政府、与党に望んでいることは安心、希望だ。最優先はコロナ対策で、しっかり頑張る」と述べた。諮問委で専門家の意見を聞く考えも示し「そこで方向を出してほしいと思っている」と語った。
諮問委は特措法に基づき設置されており、尾身茂会長ら多くのメンバーが政府に対策を提言しているコロナ分科会とは重なる。政府は諮問委で意見を聞き、対策の指針である基本的対処方針を改定し、国会への報告を経て首相が宣言を発令する。
4月の緊急事態宣言では、幅広い施設や業種が休業要請の対象になった。今回は飲食店への時短要請が中心となる見込みで、要請の実効性を高めるための宣言という色彩が濃い。加藤勝信官房長官は記者会見で「経路不明の感染の原因の多くが飲食だと専門家から指摘されている。飲食のリスク軽減をいかに効果的に行うかとの観点から議論を進めている」と語った。
一方、加藤氏は会見で、特措法の関連政令の改正を検討していることも明らかにした。
緊急事態宣言が発令された場合、都道府県知事は特措法45条などに基づき、施設や店舗に対して使用制限を要請・指示し、従わない場合は施設の名称を公表できる。
要請できる対象は政令で定めているが、今回、新たに飲食店を加えて時短要請の実効性を高める。前回の宣言下では大阪府などが休業要請に応じなかったパチンコ店の店名を公表した。