オーダーブックで読み解く外為市場

新型コロナ関連、米国のジョージア州の選挙、米国雇用統計に注目

 先週は年末ということもあり、市場参加者が減る中、米国の追加経済対策にトランプ大統領が署名をしたことやEUと中国の投資協定が大筋で合意したとの報道を受け、株式市場を中心にリスク許容度が拡大し、FX市場では、米ドルが売られ、相対的に他の通貨が対米ドルで上昇する動きとなりました。

 円もリスク許容度が拡大する場面では売られやすい通貨ではあるのですが、昨今の市場では市場リスクが意識される場面では米ドル中心に動きやすく、「リスク選好→米ドル売り、リスク回避→米ドル買い」となる傾向が続いており、先週のドル円は下落する動きとなりました。

 今週は引き続き新型コロナウイルスの感染拡大状況、ウイルスの有効性に関する報道などに注意が必要なほか、米国ジョージア州の上院議員選の決戦投票の結果に注目が集まっています。選挙の結果次第では、市場全体が不安定な動きとなる可能性も考えられるため、注意が必要です。

 また、週末には米国の雇用統計の発表が予定されています。昨今の雇用統計は以前よりもインパクトは少ないですが、米国の金融政策を占う上では重要な経済指標の一つであるため、発表前後の動きには注意したいです。

ドル円は上値の重さ残るか

 では、世界中に顧客を持つ外国為替証拠金取引(FX)会社のOANDA(オアンダ)が提供するオーダーブックで外国為替市場の動向を探ってみましょう。

 オーダーブックはOANDAの顧客の取引状況を公開したデータです。顧客の保有しているポジションの取得価格の水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンポジション」と、顧客の未約定の注文の価格水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンオーダー」の2種類のデータから成ります。

 ちなみに、ある通貨を買っている状態を「買いポジション」、売っている状態を「売りポジション」といいます。買いポジションを保有している場合、その通貨の価格が取得価格から上昇したら収益が上がり、逆に下落すると損失が発生します。売りポジションを保有している場合は、取得価格から下落すると収益が上がり、上昇すると損失が発生します。FXでは、それぞれのポジションとは反対の売買を行って決済(損益の確定)をする仕組みとなっているからです。

 先週のドル円は1米ドル=103円台で上値の重い推移が続きました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションの比率が68.3%まで上昇する中、その多くが含み損を抱えており、反発に転じた場合は安堵の利益確定の売りが増えて、上値を圧迫し、また、安値を切り下げる動きとなった場合は、損切り(損失拡大を防ぐための決済取引)の売りが増え、上値の重い状況が続く可能性を見出すことができそうです。

 一方で直近の反発により、苦しくなった売りポジションも少し増えており、反発の際はこれらのポジションの損切りの買いが増え、短期的には流れが変わる可能性にも少し注意が必要となりそうです。

ユーロドルは上昇基調も短期的には下押しにも要注意

 先週のユーロドルは底堅い推移が続き、1ユーロ=1.22米ドル台後半まで上昇となりました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションの比率が少し多い中、高値圏で推移していることもあり、含み損を抱えたものが多いため、下押しした水準では、安堵の買い戻しが増え、また、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

 一方で、年末の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションも増えており、下押しの際はこれらのポジションの損切りの売りが増え、下押しが勢いづく可能性にも少し注意が必要となりそうです。

ポンドドルは上昇基調続くかに注目

 先週のポンドドルは底堅い動きが続き、昨年12月に2回上値を抑えた1.3625付近をしっかりと上抜ける動きとなりました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションの比率が少し多い中、上昇が続いたことにより、その多くが含み損を抱えており、下押しした水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

 ただし、含み益のある買いポジションも増えており、短期的にはこれらのポジションの利益確定の売りによる下押しにも少し注意が必要となりそうです。

【OANDAのオーダーブック】

オープンポジションはここに注目!

 相場を動かす要因の一つは損切り注文といっても過言ではありません。

これ以上損失を増やしたくないトレーダーは保有しているポジションの反対売買を行い、損失を確定させ、市場から退出します。

 例えば、価格が下落する局面では、買いポジションの保有者が苦しくなり、損切り注文(決済の売り注文)が出やすくなり、下落圧力が強まる要因となります。

 損切り注文は価格の向かう方向と同じ方向へ力が加わる注文となるため、損切り注文が多くでる場面では、短期間に相場が大きく動きやすくなります。

 オープンポジションを見ると、どの水準に含み損を抱えたポジションが多いかを視覚的にチェックすることができ、次にどちらに動いた方が、価格の動きが大きくなりそうか(損切り注文が多く出そうか)を予想することができます。

オープンオーダーはここに注目!

 前述の通り、損切り注文が増えると、一方向への力が強まるため、価格の動きが勢いづくことがあります。

 オープンオーダーを見ると、どの水準にどの程度の注文(オーダー)が入っているかを視覚的に素早くチェックすることができます。

 損切り注文が多く入っている水準に到達すると、価格が短期的にでも勢いづくことがあるため、注意が必要です。

世界中のトレーダーの相場分析のサマリー?

 トレーダーが損切り注文を入れる水準は、通常は、チャートで相場分析を行なった上で、「この水準を超えてしまったら、相場の流れが逆方向に向かう」と考えた水準に入れます。

 OANDAのオープンオーダーは、世界中のトレーダーが相場分析を行った結果のサマリーと言っても過言ではありません。

 これを見れば、世界中のトレーダーがどの水準に注目し、相場の転換点となると考えたかを簡単にチェックできます。

※逆指値注文:現在の水準よりも不利な水準を指定して行う注文。通常、損切り注文はこの逆指値注文を使います。

本記事に掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

OANDA Japan株式会社

第一種 金融商品取引業 関東財務局長 (金商) 第2137号

加入協会等:一般社団法人 金融先物取引業協会 日本証券業協会 日本投資者保護基金

OANDA FXラボ編集部
OANDA FXラボ編集部 OANDA Japan株式会社
世界各国に拠点を持つFXブローカー
1995年に世界で初めてインターネットを利用した無料の外国為替レート情報の提供を開始したOANDAの日本法人。創業当初から、正確で透明性の高い優れた為替レートを提供するため万全のインフラを整え、取引環境の改善を行ってきた。現在では世界8カ国にオフィスを構え、そのサービスは世界中のトレーダーに利用されている。

【オーダーブックで読み解く外為市場】はOANDA FXラボ編集部が投資判断の参考として外国為替市場の動向を読み解く連載コラムです。更新は原則毎週火曜日。アーカイブはこちら

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