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お金は使うほうが貯まる? データで見る、貯めてる人の意外な買い物志向 (2/3ページ)

カクワーズ
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「安く買う」の落とし穴

 安く買うことは、もちろん悪いことではありません。同じ収入なら、出費を減らさなければ貯蓄は増えないのは事実だからです。ではなぜ、「安く買う=貯まらない」という結果が出てしまったのか。

 実は、「安く買う」にはさまざまな落とし穴があります。

 まず、安いと購入のハードルが下がります。「安いから買ってもいい」、「少額だし、このぐらいは贅沢しても」と、値段を理由に財布を開いてしまうことはありませんか? お金は使えば減ります。いくら安くても、たくさん買えばそれだけ貯蓄に回せる部分は減ってしまうのです。

 さらに「安く買えた」「お得だった」ことに満足してしまうと、本当に必要だったかどうか、振り返りにくい点も、注意が必要です。“自覚なきムダ”は、見直しにくくなります。

 「本当は欲しいのはAという商品だけど、Bのほうが安いからBにしよう」などと、値段で妥協するのも気をつけたい買い方のひとつ。こうした買い物は、買ったあとの満足感が長く続きません。すぐに飽きたり、「やっぱりあっちが欲しかった」と、結局また買い直すことになったりします。

 「安物買いの銭失い」という言葉が昔からあるように、安さを意識しすぎると、かえって高くつくことになってしまうことが、しばしばあるのです。

欲しいものには妥協しない

 実際に、貯まる人は安さを重視しないだけでなく、「高くてもいいものを、長く使う」ことを意識していることが、データにも表れています。

「出費に対する考え方」の結果の一部を見てみましょう。

 ご覧の通り、いいものを買って長く使いたいという考えは、貯まる人で明確に高い値を示しています。

 実際、3000円の靴を頻繁に買い換えるより、1足3万円でも、大事に何年も履くほうが、経済的です。自分が気に入ったものは、使っていて気持ちがよく、生活の満足度も高まるため、メンタル的にもお得。

 日常的に頻繁に使い、自分がこだわりたいものほど、値段に妥協せず選ぶのが、お金を上手に使う秘訣といえるでしょう。

 この傾向は、データを読み進めていくと、より裏付けられていきます。

 「予算オーバーしてもいい」など、一見、お金が貯まらなそうな考え方ですが、実は、こうした「本当に欲しいものにはお金をかける」という考え方は、貯まる人に支持されているのです。

 もちろん、なんでも予算オーバーしていたら、家計は破綻します。ですが、本当に自分が価値を感じることにお金を使い、そこで高い満足感を得ることは、お金の使い方を磨くことにつながります。

 「自分にとって満足度の高い使い方」が明確になるほど、「自分にとってつまらない出費」も分かり、そうしたものに使うお金を、自然と減らせるからです。

 「毎年大きな旅行はするが、服は興味がないから安くていい」「映画や本は好きなだけ使うが、ランチは買わずに持参する…」というように、本当に欲しいものにお金をかければ、そうでないものを節約するのが苦ではなくなり、同じ収入でも、より上手にお金を使っていくことができます。

 すべてにおいて「安さ」を求めると、ケチケチして疲れますが、メリハリがあればお金と気持ちよくつきあえます。欲しいものが明確なら、貯蓄へのモチベーションも高まり、計画的に進めることもできるでしょう。

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