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70歳定年制の始まりで 老後資金づくりはどう変わる? (2/2ページ)

高橋成壽
高橋成壽

■住宅取得はどう変わる?

 定年が70歳まで伸びると余裕がでてくるのは住宅ローンです。定年が60歳であれば、35年ローンを組むのに適した年齢は25歳、65歳定年であれば30歳が繰り上げ返済せずに定年までに完済できる年齢でした。定年が5年伸び70歳となれば、35歳で住宅ローンを組んでも繰り上げ返済の必要なく、定年を迎えることができます。定年後に住宅ローンを残したくない人や、退職金で住宅ローンを完済すると老後資金が足りなくなるなど、家を買うタイミングによって一生の資金繰りが良くも悪くも変化します。

 今の日本の結婚年齢や第一子出産年齢を考慮すると、マイホーム取得は35歳~40歳となってもおかしくありません。昨今の晩婚化や高齢出産の増加に合ったマイホーム計画が可能となります。

■生命保険は契約期間が不足する

 70歳まで働くことを前提とした場合、多くの生命保険は契約期間と就労期間が合わないという問題が出てきます。掛け捨て型の生命保険の契約は多くが、60歳、65歳で契約が終了することが多いです。60歳や65歳で保険が満期を迎えた後でも、70歳まで働くことを考えると、最後の最も死亡率の高い期間に生命保険がかけられない状態となります。

 収入保障保険であれば、契約をしなおして70歳満期にするという方法、満期の前に契約転換という方法で、保険期間を延長することができます。定期保険でも同様に、期間の延長や転換ができる場合もあります。いずれにせよ、働く必要があり給与がないと生活ができないような家庭ですと生命保険の見直しが必要になってきます。

 いかがでしょう。70歳までの雇用確保の後には、70歳定年制の導入が待っています。事前に準備したい人も、後から準備すれば間に合うと考えている人も、社会の制度と働き方の期間が変更になることは覚えておくといいでしょう。

高橋成壽(たかはし・なるひさ)
高橋成壽(たかはし・なるひさ) ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
寿FPコンサルティング株式会社代表取締役
1978年生まれ。神奈川県出身。慶応義塾大学総合政策学部卒。金融業界での実務経験を経て2007年にFP会社「寿コンサルティング」を設立。顧客は上場企業の経営者からシングルマザーまで幅広い。専門家ネットワークを活用し、お金に困らない仕組みづくりと豊かな人生設計の提供に励む。著書に「ダンナの遺産を子どもに相続させないで」(廣済堂出版)。無料のFP相談を提供する「ライフプランの窓口」では事務局を務める。

【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。アーカイブはこちら

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