5時から作家塾

コロナ禍で見る機会が減った? 日本の文化伝統「着物」業界の今

泉澤義明
泉澤義明

 初詣、成人式、卒業式など晴れ舞台に花を添えてくれる着物。昨年からのコロナウイルス感染拡大の影響で晴れ着姿を見る機会が減ったと感じる。正月の初詣の参拝客の減少や成人式の中止・延期などで着物関連業界に、どのような影響が出ているか? 着付け・着付けスクール事業を展開している方とリサイクル着物販売の店舗経営者のお二人にお話を伺った。

 まずは横浜市で活動している「着付け専門店HARU」小西さんに、コロナ禍の変更点などを教えて頂きました。

 「横浜市はオンライン成人式の予定だったのですが、分散型で開催されました。着物のレンタル店と業務提携し、店からの依頼を受けて着付けを行っていますが、コロナ禍で急なキャンセルが生じてもその分の保証(キャンセル料等)はないんです。これまで何年も着付け師としてやってきた中で、このような契約をしたのは初めてでした」

 小西さんの提携業者だけではなく、このような動きは他にも見られ、今回成人式が中止、延期となった着付け師は大きな影響を受けたのではと話されていました。

 「この1年を振り返っても着付け師としての仕事は減少しています。昨年は卒業式、入学式の中止、延期、縮小・簡素化でキャンセルが相次ぎ、本来書き入れ時の3月の売り上げが例年の半分以下まで落ちこみました。緊急事態宣言解除後の感染者が減少傾向にあっても、夏場の花火大会などのイベントが軒並み中止となり、浴衣の着付け需要も激減、年間を通じて厳しい状況となりました。」

 一方、着付けスクールは、仕事が減った美容師やヘアメイクの方が時間のある今、着付けの技術も身に着けたいと受講するケースが増えているという。スクールの方は、対面ではなく、オンラインでの開催に切り替えたと言う。着付けに関しての、細かい重要なポイントを伝える際には、100%納得のいく内容にはならず、コロナが収束したら対面での講座に戻したいと話していました。 

 次に六本木の東京ミッドタウンで着物リサイクル店「きものスタイル六本木」を経営する廣田克己さんは、着物販売はコロナの影響を大きく受けていると言う。

 「コロナ以前はお店も毎日賑わいはありましたが、昨年4月以降はたまにパラパラと来る程度。そもそも六本木の街全体も人出がまばらですしね。昨年の売り上げも最盛期の6割程度にとどまりました」

 外出自粛の影響で客足は一気に減少。イベント等も中止となり、わざわざ着物を着て出かけることがないため、必然的に購入も控える動きが出ているのではとのこと。

 「これまでは気にいって頂くと衝動買いされる方もいましたが、今は本当に必要に迫られた方でないと購入して頂けなくなりました」

 廣田さんのお店では六本木という立地柄、インバウンド需要にも影響があった。「2019年のラグビーW杯の際には、多くの外国の方からおみやげとして購入して頂けました。全体の売り上げに対してインバウンドの売り上げの割合は多くはありませんが、まとめ買いをして頂けるのです」

 コロナ禍でそれもなくなってしまった。来店客が減少し、またその復活の見通しも立たない今、ネットでの販売を始めているという。

 このように着物業界も様々な影響を受けている。昨年4月には、着物リサイクルの老舗、たんす屋(東京山喜株式会社)がコロナの影響で倒産し、業界に大きな衝撃が走った。前出の小西さんの話では、レンタル業者の中にも店をたたんだところも複数あるとのことだった。

 感染者がなかなか減少していかない中、今年の卒業式・入学式なども今年もどうなるかわからない。販売者もレンタル業者も、着付け師も講師も、皆様々な対策を講じているが、着物業界もコロナという見えない敵にもう少し苦戦を強いられそうだ。(泉澤義明/5時から作家塾(R)

5時から作家塾(R)
5時から作家塾(R) 編集ディレクター&ライター集団
1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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