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「ダム湖に浮かぶ駅」を湖面から眺めてみたら… “秘境ツアー”に行ってみた

 「湖に浮かぶ駅」や「秘境駅」として人気の観光スポット、大井川鉄道井川線の奥大井湖上駅(静岡県川根本町)。山深いダム湖「接岨湖(せっそこ)」をまたぐ鉄橋の中央部にあり、湖周辺の山々から眺めると、まるで湖上に浮かんでいるようにみえる。そんな名所を、湖面から見上げてみたらどんな景色が広がるのか-。新しい角度から絶景に迫るツアーに、ちょっとした“探検気分”で参加した。(岡田浩明)

 7日昼、快晴、標高およそ450メートル。奥大井湖上駅の1つ隣の「ひらんだ駅」近くにある、接岨湖の船着き場から出発した。定員12人の小さな船で、蛇行するような形の湖を約50分で周遊する。「今日はあいにくの強風で水しぶきがかかるかもしれませんが…」。乗船前、ツアーを企画した大井川鉄道の広報担当、山本豊福さんの一言にややひるんだが、エメラルドグリーンの湖面を揺られながら進む船旅も悪くはなかった。

 最初に見えてきたのが、旧井川線のトンネル跡や、針金のように細い線路跡だ。広さ2・3平方キロメートル、東京ディズニーランド4・5個分ある接岨湖は「長島ダム」建設で誕生した人工湖で、これに伴って旧井川線の一部が平成2年に廃線。4つの駅と沿線集落も水没し、現在の路線が新たに敷設された。廃線跡の一部は、ダム湖の水位が下がると見ることができる貴重な遺構なのだ。

 「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」。江戸時代、川の流れが速く、東海道の難所とされた大井川水系。現在は長引く少雨で渇水期にあり、国土交通省中部地方整備局によると、上流に位置する長島ダムの貯水量が平年比約74%にとどまっている。このため、普段は水没している岩肌がむき出しになっている。

 線路跡の先に進むと、湖をまたぐ鉄橋が迫ってくる。湖底からの高さ約70メートル。見上げて眺める鉄橋は迫力満点で、思わず見入ってしまった。

 列車が、鉄橋の下をくぐるタイミングで走ってくれば写真もさらに映えたのだが、鉄橋を離れて船着き場に戻る帰路に登場。鉄橋を力強く走っていくその姿が印象的だった。「列車とうまくリンクするようにしていましたが、往路は追い風で船の進みが速くなり、タイミングが合わなかった。風のいたずらです」と苦笑する山本さん。気を利かしてもらったが、自然には勝てない。

 逆に、帰路は向かい風。水しぶきが顔を直撃するものの、非日常の景色を満喫できた。水没前の鉄路や集落の暮らしに思いをはせつつ、今度は満天の星がきらめく夜空も見てみたい、などと願いながら下船した。

 ツアーは、奥大井湖上駅など「奥大井」の魅力を新たな切り口からアピールしようと、川根本町の観光協会と大井川鉄道が連携し、観光庁によるモデル事業として関係者向けに実施。大井川鉄道経営企画室の石久保光彦課長は「湖面の船から見る景観の美しさを世界に発信したい」と、奥大井の魅力を再発見する「秘境ツアー」の事業化を目指している。

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