オーダーブックで読み解く外為市場

米国10年債利回りの動きやパウエルFRB議長の議会証言に注目

 先週のFX市場は米国10年債利回りが上昇したこともあり、米ドルが対円、対ユーロで、比較的強い動きとなりました。また、新型コロナウイルスのワクチン接種について、英国が他国に比べ進んでいることもあり、ポンドが強い推移となりました。

 金融市場全体としては、引き続き新型コロナウイルス用のワクチン接種や米国の追加の経済対策への根強い期待感が強気な市場を下支える状態が続いています。

 今週も引き続き米国10年債利回りの動き、また株式市場の反応などにも注意しながら、市場の大きな方向感に変化がないかを見守りたいところです。

 また、今週は米国でパウエルFRB議長の議会証言が予定されています。大きなサプライズとなる可能性は低いと予想されますが、今後の米国の金融政策に関するコメントに市場が反応する可能性が考えられるため、注目したいです。

ドル円は上昇基調が続くかに注目

 では、世界中に顧客を持つ外国為替証拠金取引(FX)会社のOANDA(オアンダ)が提供するオーダーブックで外国為替市場の動向を探ってみましょう。

 オーダーブックはOANDAの顧客の取引状況を公開したデータです。顧客の保有しているポジションの取得価格の水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンポジション」と、顧客の未約定の注文の価格水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンオーダー」の2種類のデータから成ります。

 ちなみに、ある通貨を買っている状態を「買いポジション」、売っている状態を「売りポジション」といいます。買いポジションを保有している場合、その通貨の価格が取得価格から上昇したら収益が上がり、逆に下落すると損失が発生します。売りポジションを保有している場合は、取得価格から下落すると収益が上がり、上昇すると損失が発生します。FXでは、それぞれのポジションとは反対の売買を行って決済(損益の確定)をする仕組みとなっているからです。

 先週のドル円は底堅い推移となり、一時1米ドル=106.20円付近まで上昇したものの、終盤にかけては105円台前半まで押し戻される動きとなりました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションの比率が61.6%と依然として高い中、価格の上昇により、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻しが増え、また、高値を切り上げる動きとなると損切り(損失拡大を防ぐための決済取引)の買いが増えることが想定され、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

 一方で、直近の下押しで含み損を抱えた買いポジションも少し増えており、上昇した水準ではこれらの利益確定売りが上値を圧迫、下押しが続くとこれらのポジションの損切りの売りが増え下落を後押しする可能性にも少し注意が必要となりそうです。

ユーロドルは引き続き均衡がいずれに崩れるかに注目

 先週のユーロドルは、前半こそ下値を探る動きとなったものの、後半は反発に転じ、「行って来い」の相場となり、方向感を見出しにくい動きが続いています。

 OANDAのオープンポジションを見ると、売買のポジション比率が売りに少し傾く中、揉み合う動きが続いていることもあり、売買のポジションのバランスが均衡しており、動きにくい相場が続く可能性を見出すことができそうです。

 ただし、価格が上下に変動し、均衡が崩れると、売買のいずれかのポジションが苦しくなり、損切りが増えることにより、方向感が出てくる可能性も考えられそうです。

ポンドドルは上昇基調が続くかに注目

 先週のポンドドルは底堅い推移が続き、1ポンド=1.4米ドル台に乗せる動きとなりました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションの比率が60%台まで上昇する中、そのほとんどが含み損を抱えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、上昇を後押しすることが想定され、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

 ただし、直近の高値水準で構築され、下押しにより含み損を抱えた買いポジションも少し増えており、調整売りが進むと、これらのポジションの損切りの売りが下押しを後押しする可能性にも少し注意が必要となりそうです。

【OANDAのオーダーブック】

オープンポジションはここに注目!

 相場を動かす要因の一つは損切り注文といっても過言ではありません。

これ以上損失を増やしたくないトレーダーは保有しているポジションの反対売買を行い、損失を確定させ、市場から退出します。

 例えば、価格が下落する局面では、買いポジションの保有者が苦しくなり、損切り注文(決済の売り注文)が出やすくなり、下落圧力が強まる要因となります。

 損切り注文は価格の向かう方向と同じ方向へ力が加わる注文となるため、損切り注文が多くでる場面では、短期間に相場が大きく動きやすくなります。

 オープンポジションを見ると、どの水準に含み損を抱えたポジションが多いかを視覚的にチェックすることができ、次にどちらに動いた方が、価格の動きが大きくなりそうか(損切り注文が多く出そうか)を予想することができます。

オープンオーダーはここに注目!

 前述の通り、損切り注文が増えると、一方向への力が強まるため、価格の動きが勢いづくことがあります。

 オープンオーダーを見ると、どの水準にどの程度の注文(オーダー)が入っているかを視覚的に素早くチェックすることができます。

 損切り注文が多く入っている水準に到達すると、価格が短期的にでも勢いづくことがあるため、注意が必要です。

世界中のトレーダーの相場分析のサマリー?

 トレーダーが損切り注文を入れる水準は、通常は、チャートで相場分析を行なった上で、「この水準を超えてしまったら、相場の流れが逆方向に向かう」と考えた水準に入れます。

 OANDAのオープンオーダーは、世界中のトレーダーが相場分析を行った結果のサマリーと言っても過言ではありません。

 これを見れば、世界中のトレーダーがどの水準に注目し、相場の転換点となると考えたかを簡単にチェックできます。

※逆指値注文:現在の水準よりも不利な水準を指定して行う注文。通常、損切り注文はこの逆指値注文を使います。

本記事に掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

OANDA Japan株式会社

第一種 金融商品取引業 関東財務局長 (金商) 第2137号

加入協会等:一般社団法人 金融先物取引業協会 日本証券業協会 日本投資者保護基金

OANDA FXラボ編集部
OANDA FXラボ編集部 OANDA Japan株式会社
世界各国に拠点を持つFXブローカー
1995年に世界で初めてインターネットを利用した無料の外国為替レート情報の提供を開始したOANDAの日本法人。創業当初から、正確で透明性の高い優れた為替レートを提供するため万全のインフラを整え、取引環境の改善を行ってきた。現在では世界8カ国にオフィスを構え、そのサービスは世界中のトレーダーに利用されている。

【オーダーブックで読み解く外為市場】はOANDA FXラボ編集部が投資判断の参考として外国為替市場の動向を読み解く連載コラムです。更新は原則毎週火曜日。アーカイブはこちら

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