クルマ三昧

穏やかなキャラクターに秘められた先進技術 「マツダ3」の協調制御に驚いた (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 複雑な制御で旋回特性をコントロール

 2020年モデルで驚かされるのは、そのエンジンパワーを制御する「Gベクタリングコントロール」と、走行風をコントロールする「アクティブエアシャッター」を協調制御したことである。

 「アクティブエアシャッター」が開くと、走行風がラジエターに当たり冷却水の温度を下げるという効果を生むものの、その風はラジエターを通過し、車体のフロント下部に潜り込む。ボディフロントを上に持ち上げようという力が発生する。ボディがリフトするのだ。これがハンドリングを悪化させる。フロントタイヤへの荷重が不足し、曲がり辛くなってしまうのである。

 これまではそれは野放しにされてきた。だが2020年モデルは、そのリフトのタイミングを見計らって「Gベクタリングコントロール」が制御する。より一層、「Gベクタリングコントロール」の効果を高めるというのである。

 逆に「アクティブエアシャッター」が閉じれば、フロントのリフトが減り、フロントタイヤへの荷重が増す。そのタイミングでは「Gベクタリングコントロール」が制御を抑え、旋回しすぎる挙動を整えるのである。

 というように、極めて複雑な制御をすることで、旋回特性をコントールするのである。

 一見するところ穏やかなキャラクターのマツダ3ではあるが、見えないところで先進技術が盛り込まれているのだ。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】こちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。

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