使用料は、児童・生徒・先生1人あたり月額10円(税別)と格安になっている。また、オプションとして医師へ相談できる機能もある。万が一、子どもの体調が悪くなった場合は、チャットで相談すれば、最短3分で医師が適切な対処法や市販薬を教えてくれる。さらに外国籍の子どものために日本語に加え、英語、中国語、ポルトガル語、ベトナム語、ヒンディー語の計6カ国語にも対応している。
医師の過重労働を軽減したい
株式会社リーバーは、学校用アプリだけでなく、2018年から一般向けや企業向けの医療相談アプリを開発・運営している。なぜアプリを開発したのか? その理由を伊藤さんはこう話す。
「17年間医師として働いてきましたが、近年、医療現場は常に過重労働に苛まれ、当直を終えてそのまま次の日も働くことも常態化し過酷な現場が少なくありません。勤務中に突然死する医師も散見されます。こういった医師の負担を減らしたいと考え、2018年に遠隔医療アプリを開発したのです。いま体調不良が生じ病院を訪れる人のうち、本当に治療が必要なケースは10%程度だと感じています。市販薬で対処できる場合が多いのが現状です」
来院の必要がない軽症者に対しては医療相談アプリで支援を行い、その一方で重篤な患者には早めの受診を促し適切な治療を行う。そういったバランス配分で医師の過重労働を軽減するのが目的である。
図らずもコロナウイルスの蔓延により、同社の医療相談アプリを感染対策として使用する人が急増している。昨年1月時点では8000名だったユーザーが、現在は15万名にまで拡大しているのだ。
「医療相談アプリによって医師の負担を減らし、学校や企業の業務を効率化することができました。今後は医師が不足している学校保健や産業保健領域にも遠隔医療を広めていきたいと考えています」
誰もが健康管理に注意している昨今、感染症対策の一環として医療相談アプリを使ってみるのは、有効な手段ではないだろうか。(吉田由紀子/5時から作家塾(R))