朝晴れエッセー

宇宙旅行・2月28日

 家族で、夜空を見上げた。何年ぶりだろう。雲一つない冬の空に、いくつも星が瞬いている。

 西の空に、星のように見えていた光が少しずつ上昇していく。「あ、国際宇宙ステーションだ!」。時間通りだった。

 初めて肉眼で見る宇宙ステーションに、高齢の父は子供のように目を輝かせ、母は興奮してはしゃいでいた。美しい光の点は、私たちの頭上をゆっくりと移動していき、東の空へと消えていった。思っていたより大きく見えた。数分間の素晴らしい光景に、心が弾んだ。

 翌日、宇宙ステーションに長期滞在している宇宙飛行士と日本の中学生たちがアマチュア無線で交信することを知った。肉眼でも見えたのだから、ここでも聞けるかもしれない。

 手のひらサイズの無線機を持って、外に出た。曇りのため肉眼では見えないが、通過予定時刻が近づくにつれて、流暢(りゅうちょう)な英語が聞こえてきた。

 アメリカ人の女性宇宙飛行士が、中学生からの質問に丁寧に答えていく。家族から歓声が上がった。宇宙ステーションからの電波は、私の手元まで直接届いていた。宇宙をとても近くに感じた。

 それから、夜空を見上げるようになった。宇宙ステーションの美しい光は、世界中の人々が住んでいる空を飛んでいく。それを見ていると、気持ちは世界に、そして宇宙へと広がっていった。

 家族での宇宙旅行。このかけがえのない時間を、これからも楽しみたいと思っている。

 園田巖(47) 東京都練馬区

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