ヘルスケア

緊急事態宣言後の感染者減少ペースは前回並み 効率化奏功もくすぶる「火種」

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い1月に発令された2度目の緊急事態宣言。対象11都府県のうち首都圏を除く7府県は2月末までに解除となったが、感染者数の推移を昨年4~5月の最初の宣言時と比較すると、街中の人出自体が多かったにもかかわらず、発令から5週間の減少ペースはほぼ同じだった。飲食店などに絞った対策が効果を挙げた形だが、それ以降は今回の減少幅の方が小さく、「下げ止まり」の感もある。専門家は「感染の火種はまだくすぶっており、さらなる対策が必要だ」と指摘している。(荒船清太)

 人出増でも…

 緊急事態が宣言された昨年4月7日と今年1月7日を起点に、厚生労働省が1日ごとに発表している全国の感染者数の増減を比較すると、今回宣言時では5週間余りが経過した2月12日の感染者数が1月7日時点の2割にまで低下。前回宣言時も、5週間弱がたった昨年5月10日の感染者数は、昨年4月7日時点の2割以下だった。

 ただ、6週目に入ると前回宣言時は1割にまで低下したが、今回宣言時は2割前後で推移。減少のペースに違いがみられた。

 一方、スマートフォンの位置情報を基にしたシステム会社「アグープ」の人出データによると、今回宣言時の主要駅の人出は、前回宣言時より増えている。

 たとえば、新宿駅の平日午後3時台の人出をみると、今回宣言時では今年1月7日以降、同日の人出の9割を下回ったことはないが、前回宣言時には昨年4月7日以降、9割を上回った日はほぼなく、5割を割り込む日もあった。大阪駅の場合は、4割を下回った日もあった。

 飲食店の営業自粛が要請された午後9時台の人出をみても、新宿駅の場合、今回宣言時は平日で最も落ち込んだ日で7割近くだったのに対し、前回宣言期時の場合は4割近くまでに落ち込んだ日もあった。

 まだ地固めの段階

 「感染防止対策の『急所』が分かり、効率的になってきた」

 前回宣言時に比べて人出が多かったにも関わらず、感染者数が同様のペースで減っていったことについて、国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)はこう分析する。

 前回宣言時はマスクを着用していない人の姿も街中でみられたが、現在はほとんどの人がマスクを着用している。政府などがとった時短営業要請などの対策も、密な状況になり飛沫(ひまつ)感染のリスクが高い、会食の制限を中心としたものに絞られた。

 和田教授は「前回の宣言時に比べて的を絞った対策で、感染者数をこれだけ減らせたことは日本にとって大きな自信になる」と一定の評価をする。

 ただ、今回宣言時の後半以降、感染者数の減少が下げ止まりの傾向を見せていることについては「(新型コロナに感染した人が)症状があっても受診をためらい、外出するなどして感染を広げている可能性がある。受診を促すメッセージを出すことが必要だ」と指摘する。

 和田教授によると、現在は感染者を減らす「地固め」の段階にある。今後については「感染の火種がまだくすぶるホットスポットを見つけ、つぶしていくことが大事だ」としている。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus