昨年はコロナ禍で在宅勤務が広がり、それまでとは暮らし方が一変しました。
当初は、居間の食卓でパソコンを広げて仕事をしていた人も、そのうちパソコン机を購入したり、部屋の片隅を仕事用にリフォームしたり。帰宅直後に手洗いができるよう、玄関のすぐ横に洗面所を設置する家庭も増えたようです。
人々が、新型コロナウイルスとそれにまつわる暮らしの変化に対応した、安心で快適な家を求めるようになりました。
それとは別に、私が以前から感じていた暮らし方の変化があります。それがテレビの位置づけです。
私が専門とするホームステージングでは、購入後の暮らしを想像しやすいように売買予定の物件に家具や小物を設えます。
居間にまず設えるのがテレビ台。それからテレビ。テレビの前にソファ。テレビとソファの間にローテーブル…という具合に。テレビ台の位置が決まると、それ以外の配置も自然と定まるのです。テレビを囲んで家族が集まるイメージが広がります。
しかし、テレビ=家族のだんらん、という構図が近年、変化しました。子供はゲーム、大人もスマートフォンやiPadでYouTubeの動画を見たりと、家族がそれぞれに興味のあるものに没頭してしまい、テレビをあまり見ない、という話を聞くようになりました。
テレビ台を中心にしたホームステージングの基本も、変化の時を迎えているのかもしれません。
環境や価値観の変化を柔軟に受け止め、今の自分にちょうどいい暮らしを見つけ、片づけ、整理、リフォームなども取り入れながら快適に暮らしていく工夫をしていきたいと思います。
(日本ホームステージング協会代表理事杉之原冨士子)