ヘルスケア

京都大、新型コロナ回復者のiPSを研究に無償提供 遺伝の影響解明なるか

 京都大iPS細胞研究財団(山中伸弥理事長)は25日、新型コロナウイルスから回復した人の血液からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作製し、国内外の研究機関に無償提供して活用してもらう取り組みを始めると明らかにした。回復者から作製したiPS細胞の無償提供は国内で初めて。同日から研究機関の受け付けを始め、早ければ4月から提供し、コロナ重症化の原因解明などにつなげる。

 財団によると、提供するiPS細胞は、コロナに感染して京都大病院などを受診し、回復した計6人から昨年6~9月に採取した血液を使って作製する。重症、中等症、軽症など、それぞれ病状が異なる人が含まれている。(【他の難病にも】「ずっと待っていた」網膜色素変性症のiPS臨床研究、患者期待

 コロナ重症化には、遺伝的要因が関係するとの指摘もある。回復者のiPS細胞から作った肺や血管、心筋細胞などに、ウイルスに感染させて重症者と軽症者での違いを比較することで、遺伝の影響を解明できる可能性がある。

 財団は、国立感染症研究所との共同プロジェクトで、iPS細胞を作製しウイルスに感染させる実験をすでに始めている。

 財団は「より多くの研究機関が活用することで、コロナの発症や重症化のメカニズムが早期に解明され、適切な治療法の確立につながれば」としている。

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