新時代のマネー戦略

お金かけない「低リスク起業」の実態 待ち受ける3つの不安に、FPがすすめる準備方法 (1/3ページ)

小沢美奈子
小沢美奈子

 「いつかは会社を辞めて起業を」。そう思ったことがある会社員は少なからず存在するでしょう。起業は自分がやりたい仕事を自由にできる反面、安定的な収入の確保が難しかったり、場合によっては借金を背負ってしまったりなど、金銭的なリスクもつきものです。そこで今回は起業の実態を探り、リスクを抑えた起業、いわば「低リスク起業」の準備方法を考えていきたいと思います。

低リスク起業 4つの形

 筆者は起業家のインタビュー取材をする機会もあり、30代から60代まで、幅広い年代の起業家の話を聞いてきました。起業にもさまざまな形があります。たとえば個人事業主として起業する人や、会社員として請けていた仕事をフリーランスで請け負う形に変更した起業、法人を設立する起業など。

 そうした取材を通して知ったことは、「ひとりで小さく事業を始める起業」が多いということでした。ひと昔前の起業のイメージは、法人成り(法人化)と、資金の借入れがセットとなっていた起業だったと思います。しかし最近の起業は、リスクを極限まで抑えたものです。

 では低リスクの起業とはどういうものでしょうか。リスクを低減するための4つのパターンを挙げてみたいと思います。

▼パターン1 それまでやってきた仕事で起業する

 会社員としてやってきたことを起業に活かすというのは、まさに低リスク起業の王道と言える手法です。

 起業で新しいことを始めるとなると、スキルを習得するための費用や、新たな人脈作りのための交際費が必要になるなど、その分資金も余分に必要となります。しかし既にやってきたことなら、その仕事に対するマーケットも把握している上に、スキルも既に身に付いています。会社員の人は、今実際にやっている仕事の中から、起業につなげられることがないかをまず考えてみると良いと思います。

▼パターン2 自己資金のみで起業する

 事業の規模にもよりますが、リスクを低くするために、起業をする際は自己資金でまかなうことを目指したいものです。

 今はパソコン一台あれば仕事ができる事業がたくさんあります。たとえばライター業やコンサルタント業、IT系のエンジニアなどです。飲食業においても、店舗を借りるのではなく、キッチンカーで起業する人もいるようです。自己資金のみで小さく起業し、事業を拡大する過程で資金が必要となった場合に初めて借り入れる。このような方法が低リスク起業だと言えます。

▼パターン3 初期投資を最小限に抑える

 最近はわざわざ事務所を借りなくても、自宅の一室やシェアオフィスなどで事業を始めることができます。「普段は自宅で仕事をして、打ち合わせの時だけ貸会議室を利用する」という起業家も多いのが実情。また、最近は法人の登記ができるシェアオフィスも増えてきました。

 一方、事務業務や秘書業務は、そのような業務を代行している業者に外注している人も多くいます。リスクを背負わない経営によくあるスタイルです。

▼パターン4 副業で試しておく

 将来やりたい仕事を副業で試しておくことは、起業での失敗を防ぐための効果的な方法です。

 主たる収入を確保しながら、自分がやりたいビジネスを試せるわけですから、使わない手はありません。ただし、副業をする場合は、本業として勤めている会社の規則で許されていることを確認してから行うことが大切です。

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