ヘルスケア

需要広がるコロナ後遺症専門外来 視野に入るワクチン後

 新型コロナウイルス禍では、重症化だけではなく後遺症の問題も気になるところ。新型コロナの後遺症対策を専門に行う外来が設けられている病院もある。医師によると、外来にやってくるのは50代までが多く、症状の訴えは倦怠感(けんたいかん)や微熱、味覚障害など多岐にわたるが、「感染で特殊な生活を強いられるためか、精神面の不安を抱えていたり、不眠になったりする人もいる」という。

 需要大きく、診療時間を拡大

 岡山市の岡山大学病院には2月15日、「コロナ・アフターケア外来」が開設された。大塚文男副病院長によると、同病院では新型コロナ患者を受け入れているが、重症・軽症に限らず後遺症の症状が多いことが分かってきて、退院後のフォローアップの必要性を感じ、昨年の秋ごろから準備を進めてきたという。

 後遺症の内容は多岐に及ぶことが想定され、複数の症状に対応できる『総合内科・総合診療科』に開設。プライバシーに配慮し、入り口には『コロナ』の文字は掲げず、通常の総合内科の患者と同じとした。かかりつけ医からの紹介か、各地の保健所を通じた予約によって受診する仕組みだ。

 当初は月、火曜日に限り医師5人態勢で対応していたが、「需要が大きく水曜、木曜日にも枠を拡大した」(大塚副病院長)。

 後遺症の訴え、最多は倦怠感

 大塚副病院長によると、外来に来るのは高齢者よりも50代までが多い。訴える症状はさまざまで、「37・5度に至らない微熱、味覚障害、嗅覚障害など多岐にわたる。因果関係は分かっていないが手足のしびれを訴える人もいた」。20~30代の女性では『排水口が詰まるくらいの脱毛症状がある』と訴える人もいたという。

 同病院の8例目までのまとめでは倦怠感が6例、脱毛4例、微熱3例。「人によってこれらが併発している状況だ」(大塚副病院長)という。また、新型コロナへの感染により特殊な生活を強いられることによるものか、精神面での不安を訴えたり、不眠に陥ったりする人も目立つという。

 ワクチン接種の副反応対応も

 同病院では患者に採血、検尿をし、ホルモンを分泌する甲状腺や副腎の検査を実施。呼吸器に症状があればエックス線撮影やCT検査も行う。治療では漢方薬を処方することも多いという。その後は症状を診ながら必要に応じて、呼吸器、消化器などの専門内科を受診してもらう。

 未知のウイルスだっただけに、大塚副病院長は治療期間について「1、2カ月に1度の確認が必要」としながらも「時間が経てばよくなるのか、さらに悪化するのかはまだ分かりにくい」とする。ただ、「症状を医師に直接話すことで安心でき、精神面で楽になった人はいる」という。

 最近では病院を訪れる患者が最も口にするのが「私はワクチンを打ってもいいのか?」という質問だという。今後はワクチン接種の際の副反応などへの対応も生じる可能性がある。

 大塚副病院長はコロナ下の病院について「どの科目であっても総合的な知識をもって臨まなくてはいけない」と指摘。「今後はワクチン接種後に体調を崩した人の外来も受け付けることになる。態勢を整えていきたい」と話している。

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