スポーツ産業の盛んな欧米では、1人が複数の種目を楽しむ「マルチスポーツ」が主流だ。1種目に専念しがちな日本とは異なるスポーツとの関係性で、市場規模の拡大にもつながっているとされる。
野球のユニホーム姿でアメフトやサッカーを練習する子供たち。帝京大学が昨年12月に設立した国内初の大学学童野球部「帝京ベースボールジュニア」では、マルチスポーツを実践している。複数種目を経験するなかで、幅広い視野やスポーツの魅力を学ぶ狙いがある。
「国民1人当たりが経験する競技が増えれば、用具の購入などだけでなく、各競技のファン化などにもつながる」と話すのは、同チームの顧問でもある同大経済学部の大山高准教授(スポーツマネジメント)。「さまざまな業界にスポーツファンが増えれば、新たなビジネスや連携も生まれやすくなる。スポーツ界全体でマルチスポーツを促進すべきだ」と訴える。
大山氏が「マルチスポーツ的なプラットフォーム」と評価するのが、伊藤忠商事グループが運営するオンラインファンコミュニティ「サーカスファン」だ。世界レベルのトップアスリートからアマチュアまでさまざまな競技の選手と、ファンは出会うことができる。
「競技者同士の交流が新たなビジネスのきっかけになるかもしれない」と期待している。(取材協力 伊藤忠商事)