朝晴れエッセー

幼少期の習い事・4月10日

 5歳年上の姉の影響だろう。幼少期、私はピアノを習っていた。自分から習いたいと言った覚えはない。ろくに練習もせず、レッスン開始30分前に母親に諭され慌てて練習するのが常だった。

 今、私にも子供が3人。長女にもピアノを習わせている。脳科学的な良さを狙ったのだが、私と同じく長女も練習嫌い。部屋には前回のレッスンからそのままのカバンが転がっている。

 先日、何でもかんでも「ママ!」と要求してくる育児に疲れ、1人部屋で休んでいた。ふと、部屋の隅にあるピアノに座り、カバンを遠ざけつつ長女の課題曲を弾いてみた。

 「あ、間違えた」「今度こそ!」と心の中でつぶやきつつ、繰り返し弾いているうちに不思議と心が落ち着いていた。長女の課題曲は八分音符が少し並ぶ程度。それでもスラスラと弾けたときには達成感を味わえた。

 気づけば私は毎日ピアノを弾くようになっていた。いつの間にかピアノを弾く時間は私にとって育児を忘れさせてくれる貴重な時間となった。初めて、ピアノを弾く楽しさを知った。

 思い返せば、小学校卒業と同時にピアノをやめた。勉強が忙しくなるからという理由で母も仕方なしに納得してくれた。

 あの頃、習っている意味さえ分からなかったピアノ。25年もたった今、私にピアノを習わせてくれた両親と教えてくださった先生に感謝の気持ちを伝えたい。

 三木枝里 37 東京都世田谷区

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